やまいも

やまいもの歴史

『やまいも』は世界中で600種ほどの種類があり、広く栽培されています。日本には『薯預』『自然薯』『大薯』などの種類が出回っています。(『薯預』の中に『ながいも』『いちょういも』『つくねいも』などの種類が含まれるようです。)

『薯預』は紀元前から中国で栽培されたものが、朝鮮半島、台湾、日本などにもたらされたもので、日本へは奈良時代以前に導入栽培されていたようです。

また、『自然薯』は、日本原産で縄文時代には山野に自生していたようです。

九州地方などで栽培される『大薯』はインドからマレー、台湾周辺地域原産の熱帯産の芋『ヤムイモ』に近い種類のようです。

やまいもの呼称名

『やまいも』の呼称名には地域差や個人差により使用方法が若干異なっていますが、一般的に『薯預』の種類を『やまいも』と呼び、その外のものを『ヤマノイモ』と呼び分ける。もしくは『ヤマノイモ属』を総じて『やまいも』と呼ぶなどの二つのように使い分けられているようです。

(農林水産省の統計品種では、長いも・自然薯・大薯の三種類はやまいもと分類されています。)

むかご(零余子)

『自然薯』や『やまいも』の葉の付け根にできる5~10ミリ程の小形の塊。これはやまいも自身が繁殖を効率よく行うために付けるもので、つるが枯れる11月頃には地面へばら撒かれ、腐らずに残ったものが芽を出し成長していくようになっています。

『むかご』にはやまいもの風味や食味も凝縮されていて、栄養価も高く、ご飯と一緒に入れて炊いたり、塩茹などにして食べられることが多いようです。

『ぬかご』『いもご』『ばちかご』など地域によって様々な呼び名があるようです。

かゆみの正体

『やまいも』や『さといも』を触ると手がかゆくなることがありますが、これはアクの成分『シュウ酸カルシウム』が芋に含まれている為に起こります。この『シュウ酸カルシウム』は針状結晶をしていて、この成分が皮膚に触れると皮膚の表面を刺激してかゆみを生じるようです。

かゆみの防止方法として酸や熱、乾燥に弱い『シュウ酸カルシウム』の性質を利用して、『調理する前に酢水に漬ける』や『加熱してから皮を剥く』そして『洗浄後、乾かす』などの方法をとればかゆみを抑制することができるようです。

やまいもの種類

長いも

現在市場に出回っている『やまいも』の中で一番多く流通しているもの。

形状は丸い棒状で、水分量が多く、とろろなどの使用には不向きで、細く切って使用すれば『さくさく』とした食感を生かすことができます。

銀杏芋(いちょういも)

形状が銀杏の葉に似ていることからこの呼称名がついたようです。関東地区で主に流通していて、大和芋(やまといも)とも呼ばれる。長いもよりも粘りが強く、とろろなどの使用に向いている。(別名  とろろいも)

最近では加工し易い、棒状もしくはバチ状のものが好まれているようです。ちなみにこの形状の違いは、栽培環境(水分量)などによって変化するようです。

捏芋(つくねいも)

関西地方で主に出回るコブシ形もしくは球形のやまいもで、粘りも強く、味も濃厚なのが特徴。(関西では、『やまといも』と呼ばれている。)

乾燥に弱く、栽培できる土壌も限られているようで、栽培が難しい。兵庫県の『丹波芋』や石川県の『加賀丸いも』、三重県や奈良県の『伊勢芋』などもつくねいもの仲間 。

自然薯(じねんじょ)

日本原産の山野に自生しているやまいも。全長は数センチ~1メートルほどで長細く、曲がりくねった形状をしていることが多い。

粘りが非常に強く、上品な白色をしていて、とろろなどに用いられ食されることが多い。昔から滋養強壮剤としての効果や胃腸病予防、肝臓病予防、消炎効果などがあるといわれ薬用として使用されることも多かったようです。

最近では塩化ビニールの管を使用して人工的に栽培されるものも増えてきているが、粘りなどは天然のもののほうがあるようです。

大薯(だいしょ)

九州地方などで栽培されている熱帯産『ヤムイモ』の総称で、分類上は『ヤマノイモ』とは別品種のようです。(別名『為薯(ためいも)』)形や色も様々で、種類によっては数十キロになるものもあるようです。市場へは余り出回りません。

やまいもの食効果

やまいもにはデンプン、ビタミンA、B群、C、たんぱく質、カリウム、食物繊維の他、消化酵素、ムチン、コリンなどの物質が含まれ、昔から滋養の高い野菜として親しまれてきました。(中国では漢方薬として販売されています。)

消化酵素のアミラーゼ(ジアスターゼ)は大根の約3倍含まれていて、でんぷんの消化を促進し、胃腸の消化を助ける働きがあります。また、ジアスターゼは熱に弱いので、調理するときには注意が必要です。

やまいも特有の粘り気は、胃壁の粘膜の保護やタンパク質の吸収効率を高める働きがあるとされています。

ビタミンB2複合体のコリンは、血圧を下げる働きのある『アセチルコリン』や、肝硬変や動脈硬化の予防を行う『レシチン』の材料になります。

やまいもには以下のような食効果があるとされています。

滋養強壮、疲労回復、糖尿病予防、便秘解消、高血圧予防など

やまいもの保存方法

風通しの良い温度が一定の場所や冷暗所で保存しておけば数週間~数ヶ月の保存が可能です。(産地などではおがくずや土に埋めて長期保存しています。)

また、切ってしまったものや使用途中のものは、切断面から酸化して変色していきますので、早めに使い切るようにしましょう。

選び方のポイント

表面に張りがあり、変色(ただし、漂白されていて不自然に白いものは避けたほうがよいでしょう。)や傷のついていないもので、持った感じが重いものが良品とされています。また切り売りされているものは、切断面が変色していない白いものの方が良いようです。

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