さやいんげん

いんげんの歴史

原産地は南アメリカ周辺で、紀元前5000~4000年ほど前に栽培されていた品種が、メキシコで発見されています。

その後、コロンブスにより17世紀頃ヨーロッパに持ち込まれ、その後世界中で広く栽培されるようになったようです。

日本への渡来は中国を経由して、江戸時代に隠元禅師によって持ち込まれ、隠元禅師にちなんで『いんげん』と呼ばれるようになったとされています。導入された当初は、豆のみを主に食べていたようですが、江戸時代後期には、豆を取る前の所謂、未成熟『いんげん』のサヤを食べるようになり、『サヤインゲン』と呼称されるようになったようです。

現在栽培されている『サヤインゲン』は、明治時代初頭に行なわれた勧業政策によって欧米から日本へもたらされたものが元になっていて、様々な品種改良や栽培方法の工夫で一年中流通しています。

いんげんの呼称名

隠元禅師によって日本にもたらされた『インゲン豆』ですが、これは今で言う『フジマメ』であったとされているようです。(現在の『インゲン豆』も隠元禅師によって日本へ持ち込まれています。)

この『フジマメ』は『インゲン豆』とは別の種類ですが、関西地域では『フジマメ』のことを『インゲン豆』と呼んでいるようです。

いんげんの特徴

『インゲン』とは、完熟した豆を乾燥させて調理などに使用される豆自体を主に指し、全世界に約1,000種以上の種類があるといわれています。その『インゲン』の中でも未成熟のものを鞘ごと食用にするものは特に『サヤインゲン』と呼ばれることが多いようです。

また『莢隠元(サヤインゲン)』は地方によって、三度豆(枯れるまでの間、三回収穫できるので。)や四季豆、隠元ささげ、五月ささげ、菜豆、ばか豆、など様々な呼び方で呼ばれているようです。

さやいんげんの種類

『インゲン』には国内で栽培されている品種だけで約200種以上あります。(その中には完熟させて豆を使用する『インゲン豆』も含まれます。その中の所謂『サヤインゲン』を大きく分けると『つるあり』と『つるなし』に分類することができます。

『つるあり』の仲間には『つる性』と『半つる性』に分類分けができ、『つる性』のものはツルの長さが3~5メートル以上になり、収穫量が多い。『半つる性』のものはツルが『つる性』のものほどは長く成長しないようですが、収穫作業が比較的楽に行なうことができるようです。

『つるなし』のものは数10センチから1メートル以下で成長が止まり、収量もそれほど多くはない。

また、品種改良により最近の流通品種の8~9割が、すじの少ない(もしくはないもの)ストリングレス品種になっているようです。

どじょういんげん

国内で最も多く栽培されているつる性もしくは半つる性の品種で、鞘の長さは20センチ強で丸みを帯びているのが特徴。

鞘の形状が『どじょう』に似ている事から『どじょういんげん』と呼ばれているとされています。ケンタッキーワンダーや尺五寸などが代表的な品種。

丸さやいんげん

20年ほど前に導入された『つるなし』品種。鞘の長さが『どじょういんげん』より短いのが特徴。

平さやいんげん

さやの形状は湾曲が少なく(ほぼ真直ぐ)、扁平で、調理しやすいのが特徴。比較的味も濃く、『つるあり』と『つるなし』種があります。

サーベルいんげん

20年前より導入された品種で、形状は丸さやで細く、先端に向かって尖っている、全長15センチほどの極小さいタイプ。すじが少なく、甘みが強いのが特徴。

モロッコいんげん

独特の平たい形状をしていて筋もなく、柔らかいのが特徴。 元々紅花インゲンを早取りしたもので、長野や群馬周辺の高原で主に栽培されていましたが、20年ほど前より早取り専用の品種が作られてから全国で栽培されるようになりました。『つるあり』と『つるなし』があります。

さやいんげんの栄養価

『サヤインゲン』にはカロチンやビタミンA、B群、C、カルシウム、リン、食物繊維などが多く含まれています。

カロチンは細胞の老化防止や抵抗力をつける効果があり、ビタミンB群は疲労回復などに効果があるようです。また食物繊維には腸を調える働きがあり、カルシウムには骨の強化やイライラの回復に効果があり、カリウムには体内の水分量を調節してむくみ解消の効果があるようです。

選び方のポイント

さやの緑色が濃く、細めのもので、表面がみずみずしくハリがあるものが良品とされています。(鮮度の良いものは折ると『ポキン』と乾いた音がします。)また、表面にキズや変色があるものや、鞘にハッキリとした凸凹のあるものは避けるようにしましょう。

いんげんの保存方法

非常に蒸散(表面の乾燥)しやすく、収穫してから半日も経たないうちに食味や味が変化しますので、なるべく早く食す事が望ましいようです。保存方法は、ポリ袋やラップなどを使用して表面の乾燥を防ぎ、冷蔵庫の野菜室などで冷蔵保存するか、少し硬めにボイルしてから冷凍保存しておくことが好ましいようです。

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