さつまいも

さつま芋の歴史

さつま芋の原産地はメキシコからグアテマラ周辺で、すでに紀元前より栽培されていたようです。この栽培されていた芋が、一世紀前後に南太平洋周辺の島々へ、漂着して広がって行きました。

その後、コロンブスにより、とうもろこしや葉タバコとともにヨーロッパに持ち込まれ、そこから全世界へ広がっていきました。しかしヨーロッパでは余り普及せず、現在でもそれほど食されてはいないようです。

日本へは17世紀頃、琉球経由で薩摩に伝わり、栽培のしやすさから全国へ広がり至る所で栽培されるようになりました。(薩摩から日本全土に広がったのでさつま芋と呼ばれるようになったようです。)

甘いさつま芋

さつま芋を食べると甘味を感じますが、これはさつま芋に含まれるβ-アミラーゼという酵素が、アミロース(でんぷん)を分解して麦芽糖に変えるためです。

ただ、β-アミラーゼは熱によって分解力が低下します。この分解力が低下せずに、さつま芋の甘さを最大限引き出すのに適当な温度は、大体60度前後と言われています。

また、さつま芋に含まれているでんぷんの中に、β-グルコシドという成分は人間の消化酵素で分解されずに腸まで運ばれます。そこで腸内菌の栄養源として分解され、腸内で炭酸ガスの生成が活発になり、いわゆるおならができます。さつま芋を食べるとおならが出るのはこのような仕組みになっている訳です。

さつま芋の栄養価

ビタミンC

また、ビタミンやカリウム、食物繊維などが多く含まれているさつま芋ですが、特にビタミンCの含有量も多く、さつま芋を一本食べると一日に必要なビタミンCを摂取することができます。

りんごの約10倍ほどのビタミンCが含まれ、熱に弱いビタミンCをさつま芋に含まれるでんぷんが幕を作り、ビタミンCが壊れずに吸収されますを多く含みます。

ビタミンCには、しみ・そばかすなどの予防効果や風邪予防に効果があると言われています。

ビタミンB群・E

玄米と同じくらいのビタミンB群・Eを含んでいます。

ビタミンB群は血流を良くし、体の疲れを取り除き、ビタミンEは老化現象を抑えます。

β-カロチン

β-カロチンは、体内でビタミンAに変わり、生体膜を守り、ガンの抑制に効果があります。

カリウム

ご飯の約18倍のカリウムが含まれていて、調理してもほとんど失われることがありません。

主に、塩分バランスの調整や血圧低下に効果があります。

その他の栄養素

さつま芋の皮の周辺にはクロロゲン酸という抗酸化物質が含まれていて、活性酸素を取り除く効果があると言われています。

ヤラピンという(調度茎から切り離した時に出る白い物質)は便秘解消や滋養強壮の効果があります。

さつま芋の仲間の紫芋にはアントシアニンという抗酸化物質が含まれていて、生活習慣病予防に効果があります。

さつまいもの出回り時期

一年中出回っていますが、大体9~11月が旬の時期です。

さつま芋の種類

高系

表皮は赤褐色。形状は角張っていて、比較的大型品種。肉質は固く黄みがかっていています。甘みがあり、焼芋に向いています。最早生品種で、一般的には初夏のころから店頭などに出回り始めます。

紅高系

表皮は鮮やかな紅色。肉質や食味は高系に酷似しています。早~中生品種。晩夏のころからから市場に出回ります。

金時

表皮は鮮やかな紫紅色。肉質は綺麗な黄色。形状はやや尖った楕円形をしています。日本古来からの品種。早掘りの物は比較的細長いが、成長が進むと太さが増してきます。加熱処理するとホクホクで柔らかい。甘みあり、焼きいも、蒸し芋、てんぷらと調理法は様々。

紅小町

中~晩生種。金時芋の改良品種で、形状などの特徴のよい所を引き継いでいて、金時芋の筋ぽい特徴も緩和されています。さつま芋の中でも優良品種です。

黄金

表皮と根球部分は白色をしています。熱処理するとホクホクとした食感で、甘みも強い。鹿児島県が主な産地で、余り市場流通はされていない。鹿児島特産のいも焼酎はこれらの芋を原料として作られています。

紫系

根球部分の色が鮮やかな紫色をしています。紫色の正体はアントシアニンという抗酸化力の高い成分で、体の免疫力を強める働きがあり、昨今注目を集めています。お菓子やアイスクリームなどの彩りに使われることが多く、地域によって様々な品種があります。

選び方のポイント

品種によって若干差はありますが、全体的にずんぐりと太く重みがあるもの。表面の色が均一で、ぼこぼこしていないものが良いものとされています。

さつま芋の保存方法

イモ類の中でも比較的デリケートな種類で、余り低温で保存すると中の繊維質が破壊されてしまうことがあります。

また水分や湿気があると腐りやすくなりますので、冷蔵庫での保存は避け、新聞紙などに一本づつ包み室内の風通しのよい所で保存するようにしましょう。

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