胡瓜の歴史
原産地はインドからヒマラヤ山脈周辺で、紀元前10世紀頃から西アジア辺りで栽培されていたようです。当時の胡瓜はにがみが非常に強く、今日までの間、にがみをなくす様に品種改良が進んでいます。
その後、インドやヨーロッパから中国に胡麻(ごま)や胡桃(くるみ)などと一緒に伝来しました。ちなみに胡瓜と呼ばれるのは、中国からみた西方民族の事を『胡』と呼び、そこからきた瓜なので『胡瓜』と呼ばれるようになったようです。
日本には6世紀から10世紀頃中国から伝来しました。その当時は『胡瓜』とは言わず『黄瓜』と呼ばれており、今のように未完熟の青々しいものを食さず、完熟させて黄いものを食用にしていたようです。
日本での胡瓜の本格的な普及は17世紀以降になってからで、それほどまで普及が遅くなった要因として、日本の祇園信仰による所の、京都八坂神社の紋が胡瓜の切り口に似ていることで、禁忌作物にされていたことや、葵の御紋に似ているので武士たちが恐れ多いと口にしなかったことなどがありますが、一番有力なのは、当時のきゅうりは非常に苦かったことがあげられるでしょう。
河童の大好物
江戸時代に、水の神様である『河童』のお供え物として胡瓜の初物を川に流す習慣があり、その頃からカッパの大好物≠胡瓜が定着しました。現在でもその名残で胡瓜の海苔巻を『カッパ巻き』などと呼んでいます。
また、鮎は胡瓜の匂いを嫌うので、鮎釣りに行く前日は胡瓜を食べてはいけないのどと言われることもあります。
胡瓜の栄養価
胡瓜は、全体の約95%が水分で構成されていています。栄養価は特にビタミンA・B1・C・E・カリウムなどを含みますが、含有量自体はさほど多くはないようです。
ビタミンCには美肌や風邪の予防などに効果がありますが、胡瓜にはビタミンCを酸化する働きのある酵素、アスコルビナーゼが含まれている為、食べ方に注意が必要です。一般的には、お酢やレモン汁を加えて使用する、煮るなどして加熱する、漬物として発酵をさせる、などすればこの酵素の働きを抑えることができます。
その他の効果として、水分の含有量が多いので食欲を増進させる効果があったり、過剰な塩分を体外に排出する利尿効果のあるカリウムとともに、現代病予防に効果があるそうです。
選び方のポイント
胡瓜の鮮度の見分け方としては、つるから切り離した切断面が新しく、胡瓜の表面に張りがあって、直接触れるととげがちくちくと痛い位のものが新鮮です。
その他に通常の大きさのものならば多少曲がっていても、栄養価や味は曲がってないものと変りません。
胡瓜の保存方法
胡瓜は乾燥と低温に弱いので、冷蔵庫の野菜室にポリ袋やラップなどに包み、保存します。また、へたの方を上に向け、立てて保存すると長持ちしますが、大体2~3日位が保存の目安でしょう。
胡瓜の種類
花丸胡瓜(ハナマルキュウリ)
全長約6~7cmで、花付きのまま出荷される胡瓜の幼果です。余り一般的ではなく、レストランや料亭などの需要が多い。もろみそを付けてそのまま食される。
もろきゅう(モロキュウ)
もろきゅうとは品種の一つではなく、通常栽培の胡瓜の若取りしたもので、開花から一週間ほどで収穫することができます。花丸胡瓜同様、もろみそなどを付けて食べるのが最も一般的ですが、即席漬けにしたりしてもおいしく食べられます。
ピックル型胡瓜(ピックルガタキュウリ)
全体的に短い楕円形をしていて、色味はほぼ白色。主にピクルス用に栽培されている。栽培されている品種は『最上』や『酒田』などがあります。
四葉胡瓜(ヨウスウキュウリ)
華北型の品種で、長さは40センチ前後の大型です。特徴は表面にしわが多く、しゃきしゃきとした歯ごたえがあります。
本葉を四枚付けた頃から実り始めるので四葉(すいよう)と呼ばれています。
加賀太り胡瓜(カガブトリキュウリ)
直径が8~10センチ程もある大型の胡瓜。肉質が硬く絞まっていて、果肉部分も大きいので、くり抜いて中に詰め物を入れて煮込んだり、浅漬けにしたりなどして使用されます。加賀野菜の中でも代表的な野菜です。
白イボ胡瓜(シロイボキュウリ)
現在市場で流通している胡瓜の約90%が白いぼの仲間です。
特徴は、皮が薄く滑らかで、鮮やかな緑色をしていて、歯切れの良い胡瓜です。とげが白色をしているのでこのように呼ばれています。
黒イボ胡瓜(クロイボキュウリ)
春から初夏にかけて収穫されていたかつての主流種。肉質がやわらかく、皮が厚い。現在では主流種の白イボ系の胡瓜に圧されて、四国や九州でわずかに栽培されているだけのようです。
ブルームレス胡瓜(ブルームレスキュウリ)
ブルームとは、胡瓜そのものから表面を保護するために出てくるロウ状の白い粉のことで、このブルームが発生しない胡瓜のことを、ブルームレス胡瓜と呼び、特定の品種をさす言葉ではありません。
ブルームレス胡瓜は10年前に比べると現在の主流となっている訳ですが、これは表面に付着したブルームが消費者から農薬と勘違いされ敬遠されることや、取り扱う販売店が、ブルームレスのほうが表面の皮が厚く、鮮度管理が楽であることが理由としてあげられます。