かぶの歴史
かぶの原産地はアフガニスタンから地中海沿岸地域あたりで、紀元前から栽培されていたようです。
その後、日本には弥生時代ごろに大陸から伝わったようで、日本書紀には『持統天皇』が693年に主食『五穀』を補う作物としてかぶの栽培を推奨するおふれを出したなどの記述が残されています。
また、平安時代には『春の七草』(セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ)の一つとされているなど、日本古来から重要な野菜としてポピュラーな作物になっていたようです。
また、古くから日本に伝わり栽培されていたため、その土地に土着して、地方独自の様々な品種が生まれていきました。
かぶの種類
カブは、大きく分けると中国から伝わったアジア型と、ヨーロッパ型に分けられます。ヨーロッパ型の特徴は小型のものが多く、耐寒性があるので、日本では東日本を中心に栽培されています。
また、アジア型の多くは中型から大型のもので、主に西日本を中心に栽培されています。
小かぶ
各地で改良されたこかぶが生産されていますが、元々は東京の葛飾区金町周辺が原産と言われています。
こかぶの特徴としては、根部分が小さく、白くきめ細やかで、葉も非常に柔らかい。栽培は関東圏を中心に年間をとうして行われます。
万木(ゆるぎ)かぶ
アジア型の中型かぶに分類され、かぶ生産最北端の新潟県で生産されています。表皮はやや黄味を帯びていて、肉質が柔らかくて風味がよく、煮物や汁物に使用されます。葉は、漬物として利用されています。
天王寺(てんのうじ)かぶ
大阪天王寺付近で生まれた扁球型の中型かぶで、肉質が白く柔らかく、煮物料理に使用される。葉、茎も柔らかいのが特徴。また、関西以西では、博多据(すわり)かぶ(福岡県)、屋島かぶ(香川県)などの改良品種が多く栽培されています。
津田(つだ)かぶ
アジア型のかぶに分類され、島根県などの山陰地方で多く栽培されています。牛の角に形状が似ていることから「牛角」とも呼ばれています。主に漬物用として使われます。
聖護院(しょうごいん)かぶ
関西を中心に広範囲に分布している大型のかぶで、大きいものになると重量が4キロにもなります。肉質は柔らかくて上品な甘みがあり、京都名物の千枚漬けに使用されます。出荷時期は10~12月です。
日野菜かぶ
滋賀県特産の紫紅色のかぶで、形状が細長く大根に似ています。葉をつけたまま漬物用として使われ、その中でも、滋賀県蒲生(がもう)郡日野の「桜漬け」が有名です。
すぐき菜
京都上賀茂を中心に栽培されていて、茎葉ごと塩漬けにして発酵させると、独特の酸味がでるので、「酢茎菜」と呼ばれています。 晩秋に収穫され、大きな漬物樽に漬け込みます。
温海(あつみ)かぶ
山形県の山間地帯で栽培される、庄内藩名産の赤かぶです。
かぶの栄養価
葉部分
かぶの葉には根部の約4~5倍のビタミンCを始め、カロチンやカルシウム・鉄分などが含まれています。鮮度の良いものは、なるべく調理して食ベルようにしましょう。
根部分
根部の栄養価はほぼ大根と同じ成分で、体内の消化吸収を補助するジアスターゼ含まれています。その他ビタミンCやアミラーゼなども多く含んでおり、生食をお勧め致します。
かぶの食効果
腹痛の時には、かぶの根球部分を摩り下ろして、それを飲むと良いようです。また食欲不振時にも効果があるようです。
かぶの保存方法
葉をつけたまま保存すると、葉が根球部分の水分とうま味を吸ってしまい、中に「す」が入ることが有ります。保存する時は葉を付根で切りとり、水でぬらした新聞紙などで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存をしましょう。
またかぶの葉はすぐに黄色く変色してしまうので、できるだけ早く食すようにしましょう。
鮮度の見分け方
根部の肌が白くなめらかで、ひび割れや傷、すれの少ない、球状に近い形のものが良品とされています。葉は、葉先までピンとして、黄変や傷みのないものは鮮度が良いでしょう。