ゆずの歴史
ゆずは中国揚子江上流域が原産地とされていて、日本には奈良時代もしくは飛鳥時代に渡来、当時は薬用などの用途で栽培されていたと古い記録に残されています。
その後、ほぼ日本全域で栽培されるようになり、現在では、日本全国の栽培量の約70%を高知県と徳島県が栽培しています。
冬至に柚子湯
冬至(12月22日頃)に柚子湯に入る習慣があります。
この習慣は銭湯ができた江戸時代から始まった習慣で、冬至→湯治(とうじ)、ゆず→融通をかけて『お湯に入って融通よくいきましょう。』という意味があるようです。
ゆずの香りは精神をリラックスさせる効果があり、ゆずの皮には、血行促進、疲労回復、美肌、保湿などの多くの効果があることから、このような習慣が日本に根付いっていったようです。
柚子の木
『桃栗三年柿八年、枇杷は九年で生りかかり、柚の大馬鹿16年(もしくは30年)』という言葉がありますが、これは果実が収穫できるまでこれくらい長い年月がかかることを表しているようです。
また、ゆずの木には沢山の鋭いトゲがあり、これは柑橘類全般に言えることですが、天敵から果実を保護する為のものだと考えられます。この鋭いトゲは収穫するときには非常に注意が必要のようです。
寒さに強いゆず
みかんの仲間の中でも耐寒性に優れ、東北地方でも栽培することができるようです。
出回り時期
ゆずは大体5~6月頃に花を咲かせ、夏頃から晩秋、初冬にかけて収穫します。
市場に流通する『青ゆず』は実が完熟する前のもので、大体7~10月頃出回ります。
それに対して『黄ゆず』は黄色く完熟したもので、『青ゆず』の後10~12月ごろ市場に出回ります。
ゆずの呼称名と種類
ゆずの呼称名は地方によって『ゆず』『ゆー』『ほんゆ』など様々。また、『柚』とは樹木自体の事を指し、ゆずの果実は『柚子』とされることが多いようです。
ゆずの種類は分類上10種以上あるようです。また、収穫・出荷される時期によって、『貯蔵ゆず(1月~5月頃)』『青ゆず(7月~10月頃)』『黄ゆず(10月~12月頃)』などに分かれます。
花柚
『ゆず』に良く似た近縁種で、香りがゆずに似ていて価格が手頃なので、『ゆず』として販売されていることも多いようです。香りは『ゆず』に比べると若干弱いようですが、皮も使用でき、絞り汁を食酢として使用されます。
樹木は若木の頃から果実の結実もよく、丈夫で余り大きくならないので、自家菜園などで良く栽培されています。
獅子柚子
『獅子柚子』は、別名『ジャガタラユ』や『オニユ』とも呼ばれていますが、ゆずとは別品種。(分類上はブンタンの仲間。)柚子とは違い寒さに強くないようです。
果実の大きさが1キロほどに成長し(通常のゆずの約20倍)、主に観賞用として栽培されていることが多いようですが、生食やジャムやマーマレードなどに調理してもおいしく食べられるようです。
ゆずの栄養価
ゆずはビタミンC・P、カルシウムなどのミネラル、ペクチンそしてクエン酸などの有機酸などを非常に多く含んでいます。
ビタミンCは免疫力強化、風邪予防、疲労回復、美肌効果があり、ビタミンPはこれらの働きをもつビタミンCの吸収を助けます。またペクチンは整腸作用があり、下痢や便秘の予防に効果があるとされています。その他、クエン酸には体内の疲労物質の分解を早め、疲労回復に効果があるようです。
ゆず皮には、清油成分(リモネンなど)が含まれており、浴槽に入れて入浴すると、この成分が表皮から溶け出し、皮膚の角質を保護する働きがあるようです。
ゆずの保存方法
秋冬など気温の低い時は、新聞紙やビニール袋などで表面の乾燥を防ぎ常温保存、気温の高いときは冷蔵庫の野菜室などで保存するとよいでしょう。
長期保存するには、皮と実を分けて冷凍して保存しておくと、使用するときに解凍せずそのまま使用することができます。(フレッシュのものよりも香りは落ちます。)
選び方のポイント
表面に張りがあり、キズのない色の綺麗なもので、形がよく、果皮の厚めのものが良品とされています。また、果実表面がしなびたものや黒い斑点のあるものは鮮度悪い可能性がありますので、できるだけ避けましょう。