リンゴの歴史
リンゴの原産地はコーカサス地方で、西洋では紀元前から栽培されていたようです。
日本では900年(平安時代)ほど前に中国から和りんごと言う野生種が渡来していましたが、今のものまったく別物で、現在日本で流通しているりんごは、明治初期にアメリカから輸入された物を日本で独自に品種改良したものです。
東北、北海道では稲の冷害に対する救荒作物として急速に研究され、栽培されるようになり、現在では約30品目が市場に流通しています。
特に近年では大きくて甘味の強いりんごが好まれ、「ふじ」はその代表として日本で一番流通しています。
ワックス成分
りんごは熟成が進むと、乾燥や雨露から内部を守るため表面からろう性物質を分泌させます。
これの白い粉は果粉といい、ぶどうや柿なども分泌します。
特につがるやジョナゴールドは貯蔵期間が長くなると表面に含まれているリノール酸やオレイン酸などが増加して果粉を溶かします。
りんごの表面がベトベトしてくるのはこのせいで、熟成の度合を知ることができます。
有袋栽培と無袋栽培
スーパーの店頭などでサンふじとふじと言う二つのりんごを見かけることがあると思います。これらはお互いに同じ品種なのですが、ふじは有袋栽培で栽培されていて、サンふじは無袋栽培で栽培されています。
有袋栽培は光が入らない袋にりんごを包んで育てますので、雨風から表皮を守り、擦れもなく表面が比較的綺麗に出来上がります。
無袋栽培は有袋栽培の逆で外観は色が濃くなり、サビと一般的に言われるザラザラとした表面になります。
しかしその分栄養価が高くなり、糖度や香りも増し、比較的蜜がたくさんはいっているおいしいりんごになるといわれています。(しかし貯蔵性は若干有袋栽培には劣るそうですが。)
リンゴの保存方法
りんごは低温で湿度を高めに設定すると長持ちします。家庭で保存する場合は冷蔵庫の野菜室などに保存してください。
ただし、りんごから発生するエチレンガスが他の野菜を傷める場合もありますので、ビニール袋に入れ、しっかり口を結んでおきましょう。
また、ビニールに新聞紙を一緒に入れておくと、呼吸作用で発生する水分や炭酸ガスを吸着してくれます。
リンゴの蜜
葉で光合成をしてできるでんぷんとソルビトール(糖アルコールの一種)は、果実に水分と一緒に蓄えられます。ソルビトールが果肉の中に溜まったものが透明の蜜の正体です。
このソルビトール自身の糖度はそれほど高くはありませんが、熟成が進むに連れて果糖に変化します。蜜が入っているりんごはよく熟している証拠と言えるでしょう。
ただし蜜の量は品種によって若干異なり、たとえばふじや北斗などはたくさん蓄えられますが、王林やつがるは余り蓄えられないようです。
見分け方のポイント
購入の際は次のポイントでおいしいりんごを見分けます。
- 肩と尻が角張っていて、凹凸がはっきりしているもの。
- りんご独特の香りのあるもの。ただし熟し過ぎて発酵臭を発しているものは除く。
- つるが太くてしっかりしていて、萎びていないもの。
- 同じ大きさのものと比べてずしっと重く比重の大きなもの。
- 色むらがなく、全体的に色が鮮やかなもの。
- りんごの表面を指などで弾いた時に乾いた音のするもの。
リンゴの効果
りんごに含まれる成分で次のような効果が得られると一般的に言われています。
- 疲れをとる。
- 整腸効果・解毒・コレステロール吸収。
- 腸障害・貧血に。
- 高血圧予防。
- 二日酔いや消化促進の効果。
- ストレス予防。
- 発毛、育毛効果。
- 大腸がんの予防。
- 美容と健康に。
- アップルフエノンによるアトピー性皮膚炎への効果。
リンゴの種類
さんさ
- 交配品種
- あかね×ガラ
- 収穫時期
- 8月下旬~9月上旬頃
- 形状
- 200g~300g位の中玉。全面桃赤色になり外観は良い
- 特長など
- 甘酸適和の品種で盛岡生まれ。
つがる(有袋)
- 交配品種
- ゴールデンデリシャスから品種改良
- 収穫時期
- 9月中~下旬
- 形状
- 250~300gの長円形 黒っぽい紅色に薄い縦縞が特徴的
- 特長
- 酸味が少なく甘味が強い。果汁が多く日持ちはやや良いが芳香にかける
- 収穫前の落果が多い
- 昭和5年に青森県りんご試験場が育成
- 現在の出荷量は全体の3番目・早生種の代表的品種
つがる(無袋)
- 交配品種
- つがる(有袋)と同じ
- 収穫時期
- 9月中旬
- 特徴
- 袋をかけずに育てたつがるで、肌はつがるに比べると悪いが、味はその分よい『サンつがる』は長野県産の無袋つがるの登録商標
千秋
- 交配
- 東光×ふじ
- 収穫時期
- 9月下旬~10月上旬
- 形状
- 250g前後で円形。褐紅色で縞がある
- 特徴
- 甘酸適和で味もよく、果肉が締まっていて果汁も多い
- 昭和41年に秋田県果樹試験場が交配
陽光
- 交配
- ゴールデンデリシャス×不明
- 収穫時期
- 10月中旬~
- 形状
- 中~大玉で鮮紅色で着色がよい
- 特徴
- ゴ-ルデンデリシャスの自然交雑実性から生まれ、群馬県園芸試験場で育成された品種
紅玉
- 交配
- イソパススピツエンブルグ×不明
- 形状
- 180~200gとやや小ぶり。濃い紅色が特徴
- 特徴
- 酸味が強く果肉が締まっていて、糖度が高い
- 料理用や加工原料用(特にアップルパイやジャムに使用)
- 明治4年にアメリカより導入され栽培され始めたが、病害に弱くて収益性も低いので近年は生産が減少している
北斗
- 交配
- ふじ×陸奥
- 収穫時期
- 10月中旬~下旬頃
- 形状
- 350g前後で円形。黄色に紅色の縞が入り、全体的に紫紅色になる
- 特徴
- 甘酸適和で食味は良好
- 果汁が非常に多く、果肉はやや硬く締まっている、特にりんごの中でも最高の味と言われている
- 中心部分に黒いカビのようなものが入ることが稀にありますが、実害はない
- 栽培が難しく生産者も減少していて余り市場に流通していない
- 青森県りんご試験場が昭和45年、ふじに陸奥を交配して育成
ジョナゴールド
- 交配
- ゴールデンデリシャス×紅玉
- 収穫時期
- 10月中~下旬
- 形状
- 250~350gで円形もしくは長円形。黒っぽい橙紅色
- 特徴
- 甘酸っぱく風味は紅玉に似ている
- 追熟させると甘みが増す
- 現在「紅玉」に代わって生産が増えている
- 表面に脂質が出やすい
- 昭和45年に秋田県果樹試験場がアメリカより導入
王林
- 交配
- ゴールデンデリシャス×印度
- 収穫時期
- 10月下旬~11月上旬
- 形状
- 250g前後で長円錐形。黄緑色
- 特徴
- 酸味が少なく甘さが強くて芳香があり、独特の風味がある
- 果汁が非常に多く、果肉はやや硬く締まっている
- 玉揃いが均一でなく、肌荒れや果点が出やすい
- 福島県生まれ
ふじ(有袋)
- 交配
- 国光×デリシャス
- 収穫時期
- 10月下旬~11月上旬
- 形状
- 300~450g位で円形もしくは長円形。縞がある
- 特徴
- 青森生まれ 日本で最も好まれているりんごの代表品種
- 果汁が多く、果肉は硬く食べやすい
- 適度な甘さと酸味があり、貯蔵性にも優れている
- 晩秋の蜜入りのものは最上の味
- 農林水産省果樹試験場盛岡支場が育成して昭和37年に命名
- 名前の由来は原産地の藤崎町から来たとか、日本一の山”富士山”からきた等説は色々。何れか定かではない
ふじ(無袋)
- 交配
- ふじ(有袋)と同じ
- 特長
- 「ふじ」に袋をかけずに栽培したりんご
- 有袋栽培よりも、着色や表皮などの外観と貯蔵性は劣るが、その分甘さや香りなどの食味は良くなり蜜入りも多い
- 『サンふじ』は長野県産の無袋ふじの登録商標
陸奥
- 交配
- ゴールデンデリシャスと印度から品種改良
- 収穫時期
- 10月中~下旬
- 形状
- 400~450gで円形
- 特徴
- 昭和5年に青森県りんご試験場が育成
- 肉質は比較的硬く粒は大きめで、 あまずっぱい味と芳香がある
- 贈答用高級品種
サン陸奥
- 交配
- ゴールデンデリシャスと印度
- 特長
- 陸奥に袋をかけずに栽培したりんご
- 有袋栽培よりも、着色や表皮などの外観と貯蔵性は劣るが、(特に有袋の物より黄緑色に着色)その分甘さや香りなどの食味は十分に引き出され、良くなる
アルプス乙女
- 交配
- ふじと紅玉の混植園で発見された品種
- 収穫時期
- 10月頃
- 形状
- 平均35g
- 特徴
- 一口で食べられる
- ふじと紅玉の混植園で発見された偶発実生
- 甘酸適和で、群馬県生まれ
金星
- 交配
- ゴールデンデリシャス×国光
- 収穫時期
- 11月上旬
- 形状
- 300g以上で長円形もしくは長円錘形
- 特徴
- 甘味が強く味が濃厚
- 鮮やかな黄緑色で肉質は硬い
- 出回り量は少ない
世界一
- 交配
- デリシャス×ゴールデンデリシャス
- 収穫時期
- 10月中旬~
- 見た目と形状
- 400~1kg
- 特徴
- 贈答用の高級品種。果肉はしっかりと締まっていて甘味が強い