Trrrr…
Trrrr…
がちゃ
はい、清川です。
『あの、小波と言いますけど。』
あ…ぷれすて…私に…御用?
『来週、暇かなぁ?』
え、ええ。暇だけど。
『だったら、ボーリングに行かない?体動かさないと落ち着かなくて。』
うん。行きましょう。私もそう思ってたの。
『そう。よかった。じゃあ、来週、ボーリング場の前で。』
わかったわ。遅れないでね。
『それはお互い様ってことで、じゃあ日曜日に。』
がちゃ
(卒業しちゃったらこういうのも無くなっちゃうのかな…。)
・
・
・
そりゃ、よぉっし!ストライクだぁ!…わ…。
(いけない…またはしゃいじゃった…。)
相変わらずうまいなぁ。よし、俺も!…ってスプリットだよ…。
はぁ…。
あはは…私にはまだまだかなわないわね。じゃあ、私の番ね。
(今度は気をつけて…おしとやかに…あ!)
危ない!よけて!
おおおおおおおおおお!!
ボコォ!
あぁ…あた…っちゃった…。
い、いってぇ…。
ご、ごめんなさい…大丈夫?
あ、だ、だ、大丈夫…。
血も出てないようだし…よかった…。
あ、いいからいいから。気にしないで。
ほんとにごめんね…。
ほら、続き続き!
う、うん。じゃあ、気を取り直してぇ!えい!
よっしゃぁ!スペアーだぁ!…ね…。
いいよぉ、気を使わなくても。いつもの清川さんのが、俺好きだよ。
え、えへへ…。
(す、好きって…。でも、深い意味ないか…。)
(それでもぷれすてに好きって言ってもらえるのは嬉しいな。)
よーし、俺もペース上げなきゃ。おりゃ…、あちゃぁ。
おかしいなぁ。腕力は自信があるのに。
ぷれすては力が入り過ぎなのよ。もっとリラックスしなきゃ。
リラックスったって。やっぱりいいとこ見せたいじゃない。男としては。
まぁ、それでこのスコアじゃなんにもならないけどね。
いいとこ見せるのは、他のとこにしとこかな。
くすっ。期待してるわよ。
(って何のことだろ。ほんとに期待しちゃおかな。)
今日はとっても楽しかったなぁ。ありがとう。
また今度…誘ってくれる、よね?
ああ。もちろん。
でも、卒業しちゃうとこれまでみたいに会えなくなるのかなぁ…。
どうかな…。
(今聞かなきゃ!)
あの、ぷれすては…私の…。
(ことどう思ってるのって!)
…私と同じ実業団うけるの?
(ああ、もう!私の馬鹿馬鹿!)
そのつもりだけど…受かるかな…分かんないけどね。
インターハイで結果残せなかったし。不安はあるなぁ。
そ、そう…。でもぷれすてががんばったのは、私が一番知ってるからね。
ありがとう。清川さんにそういってもらえると一番嬉しいな。
(嬉しいって? それって…。い、今よ。今しかないわ。)
それで…あの…。
何?
…なんでもない。
…卒業してもたまには会いたいね…。
そ、そうね…、私も会いたいな。じゃあ…また学校で。
えっ、送ってくよ。
う、うん。でも、ちょっと…、みんくんとこに寄ってから帰るから…。
そう?じゃぁ、また明日。気をつけてね。
それじゃ。
(私ったら、なに嘘ついてるんだろ。)
(ぷれすてともっと一緒にいたいのに…。)
(結局進路のことも聞けなかった…私って意気地なしだ…。)
(このままで…いいのかしら…。)