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■「1998.01.02」だいすき!インターハイ前日

[No.0000000001]山本

・クラブ

【顧問】いよいよ明日はインターハイ決勝だ。
  清川は当然と思っていたが、もう一人残っている。
  小波だ。
  明日はみんな二人を応援してやってくれよ。

【望】(何だか自分が決勝に残ったことよりぷれすてが
   決勝に残ったことの方が嬉しいな…。)

【みんくん】…望。
【望】…。
【みんくん】のぞみ!
  あんたまた考え事してるでしょ。
【望】えっ?な、何か用?
【みんくん】せんせが呼んでるんですけど。
【望】えっ!?そ、そういうことは早く言ってよ。
【みんくん】反応しなかったのはあなたでしょ。

【顧問】ごほんっ!
  え〜、両名ともつもる話は終わったかな?

【みんくん】あ、す、すいません。
【望】な、なんでしょう、先生?
【顧問】清川は3回目のインターハイだから慣れもあるだろう。
  すまんが小波に色々と心構えなどを教えてやってくれ。
【望】分かりました。

【望】(ぷれすてが緊張してるとも思えないんだけどなぁ…。)
  (まぁ、やらないよりは良いかな)

  (あれっ?ぷれすてはどこなんだろう?)

【望】先生。ぷれ、…小波君はどこなんでしょうか?
【顧問】おや?さっきまでそこで泳いでたはずだが…。
  誰か知らないか?
【男子】さっき更衣室の方に行きましたけど。
【顧問】人の話も聞かずに帰ったのか。仕方のないヤツだ。
【望】先生、私、後追いかけて行きましょうか?
【顧問】そうだな。明日のことをよく話しておいてくれ。
【望】はいっ!

タッタッタッタ…

【みんくん】相変わらず、慌ただしいわねぇ。

・下校途中

【望】(どこまで行っちゃったんだろう)
  (まだ家にはついてないと思うんだけど…。)

  (あ、いたっ!)

【望】ぷれすて〜!

タッタッタッタ…

【小波】あ、清川さん。どうしたの、そんなに慌てて。
【望】あ、あのねぇ…。あなた全然先生の話聞いてなかったでしょ?
【小波】先生の話?
【望】はぁ、やっぱりね。あのね…。

【望】ってことで、私に色々と教えておいてくれって。
【小波】ふ〜ん。
【望】分かってるの?
【小波】いや、実感が湧かなくてさ。
【望】くすっ。明日になれば嫌でも分かるさ。
【小波】そんなもんかな。
【望】ま、今日は実感が湧く前にさっさと寝ることだね。
【小波】そうしよう。

・自宅

【望】ただいまぁ。

【母】おかえり、望。今日は早かったわね。
【望】明日は全国大会の決勝でしょ。クラブだって早く終わるわよ。
【母】まぁ、そうだったかしらね。
【望】まったく、緊張感無いんだから。
【母】本人が緊張してないのに、家族が緊張しても仕方ないでしょ。
【望】私だって緊張してるよ。
【母】あら、珍しい。
【望】あ、あのねぇ…。
【母】でもあなたの口から「緊張してる」なんて言葉が出るのは初めてよ?
【望】今年はちょっと特別だから…。
【母】ふふふっ。そうでしょうね。
【望】高校最後って意味だからね。
【母】あら、そうなの?
【望】そうなの!お風呂に入る!
【母】はいはい。ごゆっくり。

・お風呂

【望】はぁ、明日は決勝か…。

【望】(負けたく無いな…。)
  (せっかくぷれすてと一緒に決勝に出れるんだもんね)
  (やっぱり、二人で優勝したい…。)

【望】(そしたら、アベック優勝とかいって新聞に載ったりして…。)
  (きゃーっ、二人で写ってる写真なんか載ったらどうしよう)
  (学校で噂になったりして〜)
  (それでもって…、あれ…、目が回る…。)

【母】望、いつまで入ってるの?もう1時間以上になるわよ。

【母】望?望!
【望】ふにゃぁ…。
【母】完全に逆上せてるじゃないの。何やってるの。
【望】うにゃ…。
【母】この子は全く、世話の焼けるったら…。


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