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■「1997.12.09」だいすき!情報誌

[No.0000000004]新里

・お手洗い

【望】また髪が伸びてきたな…。水泳には邪魔だから、切らないと…。
  (でも、ぷれすてに可愛いと思われたいから、伸ばしてみようかな…。)
  (あいつ、こんな私にも優しくしてくれるし。)

【女子1】ねぇねぇ、今月のメモスポ、見たぁ?
【女子2】メモリアルスポット?…見てない。
【女子1】今月の特集、超サイアクよ。ほら、これ…。
  『今時の男は、一人の女と付き合うだけじゃ駄目だ!』
【女子2】ひど〜い、フタマタ勧めてるじゃないの?
  馬鹿にしてる…。
【女子1】それだけじゃないのよ。
  『適当にモテそうにない女の子に優しくしてキープしておこう!』
  これって、ふざけ過ぎよね〜。
【女子2】サイアク〜。
  男がそういうつもりなら、逆手に取って弄んでやるわよ。
【女子1】引っかかる男がいればいいんだけどね〜。
【女子2】なによ〜、その言いかたぁ…。

【望】(馬鹿な会話してるなぁ…。他に考えることはないのか?)

・廊下

【望】さて、次の授業は寝ないように頑張らないとな…。
  最近、ぷれすてと遊びに行ったりしてるから、ちょっと疲れが…。
  う〜ん。(伸びをする)
  ドン。
【小波】あっ!
  バサ。
【望】あ、ぷれすて。ごめん、ちょっとよそ見して歩いてたから…。
【小波】こっちこそ、ごめん。
【望】なんか落ちたぜ。
  …メモリアルスポット?
【小波】あ、ああ、好雄に借りてたんだ。
【望】…今月号だね。
【小波】そうだけど…。どうかした?
【望】いや、なんでもないよ。授業があるから、じゃ。
【小波】どうしたんだろう?…いつもの清川さんと違うような…。

【望】嘘、信じられない…。
  ぷれすてが、あんな雑誌を読んでたなんて…。
  もしかして、私に優しくするのって…。もしかして…。

・授業中

【望】(モテそうにない女の子に優しくしてキープ…。)
  (いや、ぷれすてがそんなつもりで私に優しくしてたなんて…。)
【先生】…だ。じゃ、次を、清川、読んでみろ。
【望】そ、そんなの、いや…。
【先生】…そ、そうか、いやか…。(拳が震えてる)
【望】え?
【友人】望、138ページ…。
【先生】いや、いい。もう清川には頼まん。先生が悪かった。
【一同】あははは…。
【望】あ、138ページの…どこ?
【先生】もういい。水野、代わりに読んでくれ…。
【望】(ああ…。自己嫌悪…。)

・部活

【望】なんだか部活に出るの、いやだなぁ…。
  どうしたんだろ。こんなこと、一度も思ったことないのに…。
【顧問】よ〜し、身体をほぐしたら、200m3本でアップだ。
  あとは、いつものメニューをやるように。
  私は、これから会議があるんで、気を抜かずにやるように。
【望】は〜い。
  バシャーン。
【顧問】(清川は、もう身体をほぐしたのか?)

【望】あ〜あ、今日は水の掴みがイマイチだ…。
  あっ!
  (あ、足がつっちゃった。うそ…、両足いっぺんに…イタタタ…。)
【小波】あ、あれ?清川さん…。
  足がつったのか?
バシャーン。

【小波】ふぅ、良かった…すぐに気付いて。
  清川さんだったら、足がつっても岸までたどり着けると思ったけど…。
【望】…。
【小波】両足か〜、痛そ〜。今、伸ばすからね。
【望】い、いやっ!
【小波】いやって…、痛くても、伸ばしておかないと、治らないよ?
【望】い、いいの。自分で伸ばすから。
【小波】そう…。
  (どうしたんだろ、今日の清川さん…。)

【みんくん】大丈夫?
【望】…う、うん。ちょっと準備体操が足りなかったかな。
【みんくん】小波君に伸ばして貰えば良かったのに…。
【望】い、いいのよ。自分で伸ばせるから…。
【みんくん】…そ。
  じゃ、私は練習に戻るから。
  身体が冷える前に、着替えたほうがいいよ。
  その様子だと、もう「復活」は出来そうにないね。
【望】ちょっと、両足はきついわ…。

【みんくん】ちょっと小波君…。
【小波】ん、なに?
【みんくん】望と、なんかあったの?
【小波】な、何だよ急に…。
【みんくん】隠さないで教えなさいよ。
【小波】な、何もないよ。
【みんくん】じゃぁ。何で望は、小波君を避けてるのかしら?
【小波】さ、避けてる?…清川さんが?
【みんくん】もー、ニブいわねぇ…。
【小波】いや…。こっちが聞きたいくらいだよ。
  …何か、悪いことしたかなぁ…。
【みんくん】男っぽいとか言ってないでしょうね?
  駄目だよ、望はそういう言葉には、傷付くタイプなんだから。
【小波】清川さんが?
【みんくん】あ〜、そういう事を言う…。
【小波】う、嘘、わかってるよ…。

【望】あ…。みんくんとぷれすてが何か話してる…。
  楽しそうに笑って…。
  (ズキ)
  ぷれすての…馬鹿!

・部活終了後(更衣室前)

【小波】清川さんは?
【みんくん】あれ?…さっきまでいたと思ったのに。
  のぞみくん〜?
【小波】帰ったのかな?
【みんくん】そう…みたいね…。
【小波】どうしたんだろ、今日の清川さん…。
  明日、聞いてみるよ。じゃ、お疲れ。お先に。
【みんくん】さよなら。
  …。
  さ〜て、のぞみくん、理由をお聞かせ願いましょうか?
【望】う、うん…。
【みんくん】小波君、一人で帰っちゃったわよ?
【望】ちょっと…わからなくて…。
【みんくん】何が…。
【望】ん…ごめん、ちょっと、一人で考えさせて。
【みんくん】駄目よ、のぞみくんは、一人で考え込むと沈み込んじゃうでしょ?
【望】ごめん…。帰る。
【みんくん】のぞみくん?…のぞ…。
  こりゃ、重傷だなぁ…。

・帰り道

【望】駄目…。どんどん落ち込んでいく…。
  あんな話、聞くんじゃなかった…。

【小波】これでよし…と。
  あ、あれ?清川さん…先に帰ったんじゃなかったっけ?
【望】ぷ、ぷれすて?
  (な、なんでこんな所に…。方向が違うじゃない!)
【小波】ちょ、ちょっと、何で逃げるのさ。
【望】あ、アイタタタ…。
【小波】ほら、今日、足を痛めたんだから、走っちゃ駄目だって。
【望】ほ、ほっといてよ。
  それより、ぷれすて、家は方向が違うんじゃない?
  こんなところで、何してるのよ。
  (これで、私を待ってたなんて言ったら、ぶん殴って、金輪際、
   口も聞いてあげないんだから…!)
【小波】あ、ああ、ちょっと葉書を出しにね。
  (ポストを指差す)
【望】(ズキッ)
  …誰かに、手紙を書いたのか?
【小波】ま、まぁね。
【望】…。
  (そうかよ、結局は、私の…。)
【小波】ほら、今日持ってた、メモリアルスポット…。
  あの特集でね、ちょっと許せないものがあったんで、抗議の葉書をね…。
【望】え、え?
【小波】女の子を物扱いしたりとか、無茶苦茶だよ。
【望】あ、あの、それって…。
【小波】ま、俺は、デートスポット紹介の所だけ読めばいいんだけどね。
  清川さんと、どこへ行こうかって考えるのも、楽しいし…。
【望】ば、馬鹿…。し、知らないっ!
【小波】あ、清川さん、ちょっと待ってよ…。

・次の日

【みんくん】のぞみくん…。
【望】ん、なに?
【みんくん】昨日さ、小波君、足がつったのぞみくんのことを、必死で助けたんだよ。
  だからさ…。
【望】うん、今度、こっちから遊びに行こうって誘うつもり…。
【みんくん】…。
【望】…どうかした?
【みんくん】あのね〜、あたしがどういう気持ちで昨日…。
  どうやってのぞみくんを慰めようか、必死で考えたのに〜。
  …も〜いいわ。あんたのことは知らない。
  さよなら。
【望】ごめん、ありがと。
【みんくん】ふん、だ。
【望】今度、あんみつおごるから。
【みんくん】…まぁ、いいけど。
【望】あははは…。
  (良かった…。ぷれすて…。)

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