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■「1997.11.xx」だいすき!映画館

[No.0000000017]権田

・学校の廊下(お昼休み)

【小波】おーい、清川さん。
【望】あっ、ぷれすて。どうしたの?
【小波】あのさ、今日の部活はミーティングだけだったと思うけど、
  清川さんの特別練習はあるのかなと思ってさ。
【望】どうして?
【小波】いや、『恋と青春の旅立ち』の試写会のチケットが手に入ったんだけど
  二人一組だから一緒に行かない?確か清川さん観たいっていってたから。
【望】うん、いいわよ、それでいつ?
【小波】今日の午後6時半。いつもの映画館で。
【望】えっ、今日?
【小波】だから今日も特別練習はあるのって聞いたんじゃないか。

【望】(今日も多分特別練習で終わるのは8時くらいかなぁ。)
  (でも、せっかく私のために試写会のチケット持ってきてくれたんだし…。)
  (断れないわよね。)
  (コーチには悪いけどさぼっちゃおうかな?)
  (…。)
  (よし、決めた、さぼっちゃおう。コーチごめんなさい。)

【望】うん、いいわよ。今日は私もミーティングだけだったから。
  それじゃあどこで待ち合わせにする?
【小波】じゃあ、映画館のまえで6時半ちょっと前ってとこでいいかな。
【望】うん、いいわよ。遅れずに来なさいよ。
【小波】もちろんだよ。それじゃあまたあとで。

【望】(『恋と青春の旅立ち』かあ…。)
  (来月上映が始まったら私の方から誘おうと思ってたのにな…。)
  (先を越されちゃったか。)

・きらめき高校校門(ミーティング終了後)

【望】いま5時30分か。走って帰れば6時半までに映画館につけるわね。
タッタッタッタ…

・自宅

【望】着替えて早く行かなくちゃ。
【母】あら、望。今日はどうしたの。いつもより早いじゃない?
【望】うん、ちょっと映画観に行って来る。
【母】さては部活さぼってきたわね?
【望】(えっ、ばれちゃった?)
  な、なんでわかっちゃったの?
【母】あなたの顔を見ればわかるわよ。いつもの彼と一緒に行くんでしょ?
【望】う、うん、試写会の券が当たったから一緒に行こうって。
  (私ったらそんなに嬉しそうな顔してたかなあ)
【母】それじゃ、早く行かないとね。彼が待ってるわよ。
【望】それじゃ、いってきまーす。
【母】行ってらっしゃい。あまり遅くならないようにね。
  (あの子もなんだかんだいっても普通の女の子ね…。安心したわ。

・映画館

【小波】ごめん。待たせちゃった?
【望】ううん。私も今来たところだから…。
  あっ、そろそろ上映時間よね。
【小波】じゃあ早く入ろう。

【小波】いい映画だったね。
【望】うん。私もあんな恋したいな…。
【小波】えっ、今なんていったの?。
【望】ううん、何でもない。
  今日はありがとう。すっごく楽しかった。
【小波】それじゃあそろそろ帰ろうか?
【望】それより、ぷれすて、お腹すいてない?
【小波】そういや昼からなにも食べてないなあ。
【望】映画のお礼に今日は私がごちそうするわ。なにか食べにいかない?
【小波】それじゃ、そうしようか。
【望】うん。行きましょう。

二人が仲良く晩御飯を食べに行こうとしている頃、
  きらめき高校では清川さんにすっぽかされたコーチが
  プールで一人寂しく待っているのを二人は知る由もなかった…。


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