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■「1997.10.29」だいすき!待ち伏せ

[No.0000000018]高野

・下校

【望】あっ、ぷれすて。
【小波】清川さん、どうしたの?
【望】えっと、やっぱり…。な、何でもないの…。そ、それじゃ。
【小波】なんだろう?変な清川さん。

・一人で帰り道

【望】あーあ。今日も言いそびれちゃった。簡単なことなのにな。
  「一緒に帰ろ。」って、一言だけ。
  ぷれすてなら断らない、そう分かっているのに…。
  私、最近分かってきた。
  ぷれすてに断られるのが嫌なんじゃないってこと。
  ぷれすては断らない。でもそれが私を想ってくれてるからなのか
  それとも単なる友達づきあいなのか、分からないから恐い。
  ぷれすてが他の女の子と一緒に帰ることがあるの知ってるし、
  そんな時ぷれすては私といる時みたいに楽しそう…。

  1年の頃はこんなじゃなかった。
  「今、帰りか?」って気軽に声かけて、部活やテストのことなんか
  喋りながら一緒に帰ったのに…。今はもっといろんなこと話したい
  私のこともっと知ってほしいのに。
  デートの時だって、浮ついちゃって大切なこと何も話せないし。
  ぷれすてが優しくしてくれるのに甘えて、何もしてあげられないん
  じゃ、ぷれすてだってつまらないよね。
  私をデートに誘ってくれるの嬉しいけど、ホントは負担なんじゃな
  いかって、思うことある。ホントはもっと、他の女の子とデートし
  たいんじゃないかって考えちゃう。…馬鹿みたい、私。
  ………。
  私、ぷれすてが好き。大好き。
  少し前まで、そんなことすら気がつかなかった。
  気がついたら、なにも押さえられなくなっちゃった。
  ぷれすてと一緒にいたい。ぷれすてに私のこと想って欲しい。
  ぷれすてにこの気持ちを伝えたい。なのに私ったら……。

【小波】清川さん。
【望】…………。
【小波】き・よ・か・わ・さん。
【望】えっ、あっ。ぷれすて!?
【小波】どうしたの?
【望】どうしたのって、あなたこそどうしてこんなところに…。
【小波】先回りして待ってたんだよ。
  ここんとこ、清川さん元気ないから。それにさっきも俺のこと呼び
  止めたのに走って行っちゃうし。なにか心配事でもあるの?
  俺でよかったら話してよ。
【望】…………。
  (だって、そんなこと言えない。)
【小波】…清川さん、一緒に帰らない?
【望】えっ?
【小波】…今の俺にはそれくらいしかしてあげられないから。
【望】!う、うん。あ、ありがとう。
  (ぷれすて!)
  (ど、どうしよう。私、な、涙が…。)
【小波】ど、どうしたの?泣いたりして。
【望】だ、だってぷれすて優しいんだもん。
  わ、私どんな顔したらいいのかわかんないよ。
【小波】笑えばいいと思うよ。やっぱ清川さんには笑顔が似合うもの。
【望】………うん。(にこ)
【小波】そ、清川さんには、え・が・お。さっ、帰ろ。
【望】うん。

【望】ぷれすては遠回りして私を家まで送ってくれた。
  帰り道、私はなにもいいださず、二人で黙って歩いた。
  ぷれすては時々私を見つめていたけど、なにもいわなかった。
  私と目が合うと、ちょっと照れたような顔して視線を外した。
  そんなぷれすての優しさが嬉しかった。


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