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■「1997.09.23」だいすき!植物園

[No.0000000006]馬渕

・自宅

【望】(最近、お誘いの電話が無いけど、どうしたんだろう…。)
  (以前はうるさいくらいに電話して来たんだけどな…。)
  (いざ電話が無くなっちゃうとこんなに寂しい物なんて…。)

Trrrr…
Trrrr…

【望】(あ、電話だ。)
  (もしかして…なんて期待しても、かかって来ないし。)
  (でも…。)
【母】望〜!電話よ〜!
【望】(私?期待して行っても落ち込むだけだし…。)
  は〜い!

トントントン…

【母】はい。小波君から。
【望】え?本当?
【母】…隠し事の出来ない子ねぇ…。
【望】何が?
【母】いーえ。ごゆっくり。
【望】(顔に出ちゃってるかなぁ)
  はい。もしもし。
【小波】『もしもし。小波ですけど。』
【望】あ、あの…ぷれすて?…何か、御用?
  (なに照れてるのよ!あ〜、顔熱くなって来ちゃった…。)
【小波】『今度の日曜日に、植物園に行かない?』
【望】うん。いいわよ。
【小波】『それじゃあ、植物園の前で待ち合わせという事で。』
【望】わかった。遅れずに来なさいよ。
【小波】『それはお互い様。それじゃ。』

  ガチャ

【望】(うふふ…来週はデート!)
【母】(ニコニコ笑いながら望を見つめてる)
【望】な、なによぉ!
【母】正直ねぇ…さっきまで元気無かったのに
【望】う、うるさいなぁ。もう。

・植物園

【小波】まった?
【望】ううん、わたしも、今来たとこだから…。
  それじゃ、中に入ろうよ。
【小波】はいはい。

【望】花ってきれいよねぇ…。
【小波】清川さんって植物が好きなんだねぇ。花壇でも育ててるし。
【望】そりゃ、そうよ。私だって女の子なんですからね。
【小波】清川さんは、どの花が一番好きなの?
【望】私の好きな花?
  …うーんと、あ、あった。もう咲いてるんだ、シクラメン。
【小波】シクラメン?
【望】ほら、ここに咲いてるじゃない。私、この花が一番好きなんだ。
【小波】へぇー。きれいな花だね。
【望】そうでしょう?花言葉も知ってるわよ。
【小波】なんていうの?
【望】シクラメンの花言葉はねぇ…『内気な心』っていうの。
【小波】『内気な心』かぁ…いい花言葉だなぁ。
【望】…私の心と同じね…。
【小波】え?何か言った?
【望】ううん、なんにも。さあ、みて回ろうよ!
【小波】え?あ、ああ。
      ・
      ・
      ・
【望】今日はとっても楽しかったなぁ。また今度誘ってくれる?
【小波】また電話するよ。
【望】ぷれすて、一緒に帰らない?
【小波】帰ろっか。

【小波】なんだか清川さん女の子っぽくなったね。
【望】なによぉ。女だと思ってなかったって言うの?
【小波】そうじゃなくてさ、最近なんとなくね。可愛くなってきたっていうか、
  なんていうか…。
【望】そりゃそうよ。努力してるし。そうしないと気にも留めてもらえそうに
  無いしね。
【小波】誰に?
【望】え?い、良いじゃない。じゃあ、私ここで。じゃあね。
【小波】ああ。じゃあ、また明日。
【望】(なんで、あそこで言えなかったんだろう…。)
  (絶好のチャンスだったのに…。)
  (やっぱり私って『内気な心』なんだなぁ…。)


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