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■「1996.11.xx」ときめき!悲しき想い

[No.0000000004]新里

・廊下

【みんくん】さーて、今日も地獄の部活か…。
  望、先に行ってるよーっ。
【望】うん、すぐに行くから。
【みんくん】じゃ、プールで。

【みんくん】さって、急いで部活、部活…。

ドンッ。

【みんくん】いたっ。
【小波】あっ。
【みんくん】いたたた…。
【小波】大丈夫?…立てる?
  (いつもぶつかって来る子じゃないな…。)
【みんくん】あ、大丈…夫…です。
【小波】顔が赤いよ?
【みんくん】い、いえ…。
  じゃ、急いでるから…。
【小波】…。

【みんくん】(あ〜、びっくりした。小波君じゃない…。)
  …。
  (小波君にぶつかっちゃった…。)
  (恥ずかしい…。)
  (…ああ、小波君のことを考えると、胸が…。)

・プール

【みんくん】あ、小波君、今日も頑張って泳いでる…。
  …すごいなぁ、高校で水泳始めて、あそこまで…。
  すごい努力家なのね…。
  (それに、優しいし…。)
【顧問】こら、何をさぼってる!
【みんくん】あ、やっば〜。

・練習後

【みんくん】お疲れ様〜。
【望】私はあと200mを5本くらい泳いで上がるから、先に上がって。
【みんくん】まだ泳ぐの?…あんた、どんな体力してるのよ。
【望】軽く流すだけだよ。
【みんくん】私にゃ、そんな元気はないわ。お先に。

ドンッ。
【小波】おっと。
【みんくん】あ、ごめんなさい。
  あ、小波君…。
【小波】あ、ああ、さっきの…。
  えっと…。
【みんくん】ガ、ガーン。
  ちょっと、今まで同じ水泳部で、名前も覚えてないの?
  (ショ、ショック…。)
【小波】い、いや、そうじゃなくて…。あの…。
【みんくん】…。水野明子よ。
【小波】ああ、そだ、水野さん…。
【みんくん】(2年の冬に、名前も覚えて貰えてないとは…。)
  (いくら部員が100人いるとはいえ、ショック…。)
【小波】練習、終り?…お疲れさま。
【みんくん】お先に…。
  (い、いけない、涙が…。)

【小波】あ、清川さん、まだ終わらないの?
【望】な、なんだよ、ぷれすて。
  そういうおまえは、もう疲れてお休みか?
【小波】誰かさんと違って、デリケートですから…。
【望】誰かって、誰のことだよ…。
【小波】あはは、俺も付き合うよ。
  200mをあと何本?
【望】付き合うったって、あと4本、流して泳ぐだけだぜ。
【小波】いいからいいから。
  とうっ。
バシャーン!
【望】わぷっ!ちょっと、隣りのコースが空いてるだろう…。

【みんくん】…。

・シャワー室(個室タイプです)

【みんくん】…。
  清川さん…か。
  私の名前は覚えてなかったのに、のぞみくんの名前は…。
  …。
  小波君、望のこと、好きなの?
  …。
  …そっか、水泳をあんなに頑張ってるのも、みんな…。
  なんだ、思わずときめいちゃった私って…馬鹿みたい。
  どうして…どうして私の好きになる男の子って…。
  私以外の…誰かのほうを向いているんだろう…。
  …。
【望】みんくん〜?
【みんくん】(ビクッ!)
  な、な〜に?
【望】まだシャワー浴びてるのか?
  …そろそろ帰ろうぜ。
【みんくん】う、うん、今、身体を拭くところだから。

・帰り道

【みんくん】…。
【望】ああ、今日も練習きつかったなぁ…。
【みんくん】あのさ、のぞみくん…。
【望】ん、なに?
【みんくん】今度、望んちに泊まりに行ってもいいかな?
【望】いいよ?
  でも、なんにもないよ?
【みんくん】あ、いいの。
  ちょっと、女どうしでゆっくりと話あったりしましょ。
【望】うん、いいよ。

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