ゴソゴソ(着替えをする音)
おはよ〜。
【母】おはよう。今日も眠そうねぇ。最近眠れないの?
ちょっとね…。
【母】そう。まあ、頑張ってランニング行ってらっしゃい。
は〜い。
【母】小波君にも会えるかもね。
ぶっ…馬鹿な事言わないでよ!牛乳吹いちゃったじゃないの!
【母】はいはい。早くいってらっしゃい。遅れちゃうわよ。
わかったよ。行ってきまーす。
バタン、タッタッタ…
(今日も、ぷれすてにあえるかな?)
(最近、あいつとこの時間良く会うんだよね。)
タッタッタ…ドン!
おはよう、清川さん。
あ、おはよう。ぷれすて。今日も早いわね。
まあね。もう少しで、俺も特別練習のメンバーだからね。
そうよね〜。入部当時からすると、すっごい進歩よね。
あの頃の溺れてるんだか犬かきなんだか、良く分かんない泳ぎからするとね。
や、やめろよぉ。恥ずかしいなぁ。
でも、良く覚えてるねぇ、話しもしてないのに。
え? あ、ああ。まあね。私は、常に部員のみんなの事を見てるのよ…。
なんだ、ちょっとがっかりだなぁ。
ば、馬鹿な事言わないでよ。照れちゃうじゃない…。
(なんで、変な事突っ込んで来るのよ、もう…。)
あのさ、今日はきらめき中央公園に行ってみようよ。
ああ、そうね。行って見ましょう。
詩織と二人でどっかの公園に行ってさ…。魚がいたから取ってやろうと
思ったら、池におっこっちゃって、大騒ぎだったんだ。
そしたら…おない歳くらいかなぁ…。
男の子が飛び込んできて、助けてくれたんだ。
それからさ。
俺もその子に憧れて、水泳をやろうって思ったんだ。
それで、あんなに必死に練習してるんだ。
(なんだ、そうだったのか…。)
とは言え、中学のときはすっかり忘れてたんだけどね。
いい加減だなぁ。
私の時は、助けてあげたらさ、次の日の新聞に、私の事、少年
なんて書かれちゃって、すっごく頭に来たけどね。
ははは…その頃から男っぽかったんだ!
なによ!もう。努力はしてんだからね!
(誰の為だと思ってるのよ!もう…分かってくれないのかな…。)
でも、あの子にお礼をちゃんと言えなかったのが心残りでさ。
そーねぇ。きっと、どっかで水泳でもしてんじゃないの?
だからさ、俺も水泳をやってれば、また会えるかなと思って…。
うん、きっと会えるよ。
なんだか、そんな気がする。
ありがとう、頑張るよ。
(あれ?そういえば…あのときの子のそばに女の子がいたわね。)
(男の子の名前、なんて呼んでたっけ?…そういえば、あの子も
今ごろ何やってんだろうなぁ…。)
あ、それじゃ、俺、こっちだから。また学校で。
あ、うん、じゃあ、学校でね。