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■「1996.08.11」ときめき!二人きりの無人島

[No.0000000001]山本作
[No.0000000011]小林原案
[No.0000000001]山本改変
[No.0000000018]高野改変

・夏合宿中

【望】あ〜あ、今日も疲れたなぁ…。
【小波】清川さん。
【望】あ、ぷれすて。何か用?
【小波】うん、夏合宿明けの日曜日なんだけどさ。
【望】うん。
【小波】休みだろ、クラブ。
【望】そうだね。夏休み中ほとんど唯一だもんね。
【小波】だからさ、海、行かないか?
【望】海?みんなで?
【小波】あ、いや、ふ、二人で行こうかなって…。
【望】あ、そ、そうなんだ。えっと…。
【小波】ダメかな?

【望】(なんだか「二人で海」って意識しちゃうな。)
  (別にいつも遊びに行ってるのと一緒だよね…。)

【望】いいよ、行こう。
【小波】やったぁ。じゃあ、約束だからね。
【望】はいはい。忘れないようにね。
【小波】それはお互い様。これで清川さんの水着が見れるぞ〜。
【望】お〜い、あんたが今見てる私はどんな格好してるんだ?
【小波】競泳水着きて海に来ないでしょ?
【望】そ、そりゃそうだけど…。
【小波】よ〜し、楽しみだなぁっと…。
【望】ちょ、ちょっと…。あ〜あ、行っちゃった。
  (そんなに可愛い水着なんて持ってないのにどうしよう…。)

・合宿終了

【望】ただいまぁ。
【母】はい、お帰りなさい。
【望】お母さん、水着ある?
【母】合宿に持って行ったでしょ。
【望】ち〜が〜う〜の。遊びに行く水着!
【母】まぁ、遊びでもまだ泳ぐの?
【望】いいでしょ、別に。水着は?
【母】タンスにしまってあるけど…。
  あれは古いからイヤだって言ってたんじゃないの?
【望】う、うん。やっぱり変かな?
【母】お母さんは望に似合ってると思うけどねぇ。
【望】そ、そう?
【母】男の子と行くの?
【望】あ、な、なんで?
【母】女の子同士で行くときに水着の心配なんかしたこと無いでしょ。
【望】そ、そうだっけ?
【母】競泳用水着でも良い、なんて言ったの誰だったかしら。
【望】う゛…。
【母】それで、いついるの。
【望】明日。
【母】相変わらず慌ただしい子ねぇ。
  それじゃ水着なんてどうにもならないじゃない。
【望】明日しか休みがないんだもん、仕方ないでしょ。
【母】まぁ、水着は諦めなさい。
【望】で、でも…。
【母】一緒に行くのはあの子?
【望】え、あ、あいつはそういうのじゃないってば。
【母】あいつって誰の話をしてるのかしら?
【望】あ…。
【母】くすくす。ほんとに正直な顔ね。
【望】そんなことはいいよ。水着、どうしよう…。
【母】その「あいつ」君はそんなことを気にする子?
【望】そ、そんなこと無いけど…。でも。
【母】ホントにいい子は外じゃなくて中を見てくれるよ?
  それとも自信が無いかい?
【望】う、ううん。
【母】じゃ、安心して行っておいで。きっと大丈夫だから。
【望】うん、ありがとう、お母さん。
【母】はいはい、用意はして置いて上げるから、早く寝なさい。
【望】はーい。
  (なんか言いくるめられたみたいだけど…。)
  (あいつならきっと、水着じゃなくて私を見てくれるよね…。)

・海

【望】大変、寝過ごしちゃったよ。昨日なかなか寝付けなかったから…。
  (あいつ、待ってるだろうなぁ。)
  (あ、いた。)

【望】ごめん、遅く…。

【???】ごめ〜ん、待ったぁ?

【望】(あの子、誰?)

【小波】あ、君は学校でよくぶつかってくる…。

【望】(あの子、こっち見てる。)
  (私のこと知ってるのかな?)

【???】…ごめんなさい。人違いでした。

【望】(人違い?)
  (ぷれすての顔しっかり見ながら話しかけたくせに!)
  (なんか怪し〜。)

【小波】おはよう、清川さん。
【望】お、おはよう。遅れちゃってごめん。
【小波】清川さんとの待ち合わせならいくらでも待つさ。
【望】ば、馬鹿…。またそんなことばっかり…。
【小波】照れた清川さんって可愛いね。
【望】そ、そんなことより、さっきの子、誰?
【小波】学校でもよくぶつかるんだけどね。誰だか分からないんだ。
【望】そ、そうなんだ。
  (間違いない。あの子ぷれすてに気があるんだ…。)
  (ふん、今日は私がデートなんだからね。)
  (…、ぷれすて取り合ってどうすんのよ、私は…。)

【小波】それじゃ、さっさと着替えて泳ごうか。
【望】そ、そうだね。
  (なんかぷれすての事、意識しちゃうな。)

【望】さ、泳ごう。
【小波】あれ、その水着…。
【望】あ、か、買い換える暇が無くて…。
  (去年と一緒だってばれちゃった…。)
  (恥ずかしいよ…。)

【小波】よく似合ってるね。可愛いよ。
【望】え?そ、そうかな。有り難う。
  (気付いてないの?)
  (そんなわけ無いよね…。)
  (じゃあ…。)

【望】気を使ってくれたのかな?
【小波】何か言った?
【望】ううん、別に。
  (あ、ダメだ。)
  (頬が熱くなって来ちゃった。)
  (またからかわれる前に逃げちゃおう。)

【望】さぁ、あの島まで泳ぐわよ。
【小波】あっ、清川さん待ってよ。
【望】(さすがにあの島までは来れないでしょ。)
  (あそこまで泳げるのは私くらいだもんね。)

・無人島

【望】ふぅ、やっと着いた。

【小波】清川さん突然泳ぎ出すなんてひどいよ。
【望】え!?
  (ま、まさかついてきたの?)
  (こんなに泳ぎが上手になってるなんて…。)
  (予定が狂っちゃった…。)

【望】す、すごいね。ここまで来れる人は、そうそういないよ。
【小波】ここまで来れば清川さんと二人っきりだからね。
【望】ば、馬鹿…。照れるからやめろよ。
【小波】大真面目なんだけどなぁ。
【望】もう、そんなことばっかり。どうせさっきの女の子にも言ってるんだろ。
【小波】信用無いなぁ。そんなこと言わないって。
【望】(これじゃ、痴話喧嘩じゃない。)
  (こんな事言うつもりじゃ無かったのに。)
  (やっぱり朝の女の子が引っかかってるのかな…。)
  (早くやめなきゃ。)

【望】ま、まぁ、いいよ。信用してやる。
【小波】有り難き幸せ。あれ、雲行きが怪しくなってきたね。
【望】本当だ。急に、天気が悪くなってきたね。
  (ま、まさか…。)
  (かみなり雲!?)
  (じょ、冗談は止めてよ。こんなときに…。)

ぴか!
ゴロゴロゴロゴロ…。

【望】キャーッ。
【小波】ど、どうしたの?
【望】あ、あたし、雷は…。だ、駄目なの。
  (あ、だ、抱きついちゃった。離れなきゃ…。)
  (だ、駄目…。体が動かないよ…。)

ぴか!
ゴロゴロゴロゴロ…。

【望】キャーッ。
【小波】大丈夫。俺がついてるから。安心して。
【望】う、うん。
【小波】何にしても、ここは危ないから、岩場の影に行こう。
【望】ちょ、待って。恐くて、動けない…。
【小波】大丈夫、じっとしてて。
【望】あ…。
  (ぷ、ぷれすてに抱っこされちゃった…。)
  (あれ、不思議。ぷれすてに抱きしめられてると何か落ち着く…。)

ぴか!
ゴロゴロ、ピシャーン!!

【望】キャーッ、もういやーっ
【小波】大丈夫だから、目を閉じて、耳もふさいで。
【望】う、うん。
【小波】心臓の音が聞こえるだろ?
【望】うん…。
【小波】それに集中してごらん。
【望】(何だろう、すごく落ち着く…。)
  (雷の音が気にならなくなっちゃった。)

【小波】あ、雨が上がったみたいだね。大丈夫?寒くない?
【望】(ぷれすての胸に顔うずめて半泣きしちゃった…。どうしよ。)
  だ、大丈夫。平気よ。でも、あの…。
  (醜態みせちゃったなぁ。あ〜あ、自己嫌悪ぉ。)
  (ぷれすてにも迷惑かけちゃったし。ちゃんとあやまらなきゃ…。)

【望】ごめんね。抱きついたりして。迷惑だったでしょう?
【小波】いや、迷惑じゃないよ。どちらかと言うと、嬉しかったかな。
【望】ほ、本当に、嬉しかった?
【小波】もちろんだよ。
【望】(私に抱きつかれて嬉しかったって…。)
  (何だか、すごく嬉しい…。)
  (それってやっぱり…。)

【望】良かった…。元気づけてくれたとき、私も、嬉しかった…。
【小波】そ、そう?良かった…。
【望】さあ、また泳いで戻りましょう。
  (今日のぷれすて、優しかったな…。)
  (朝の女の子のこと、気にしてたからだったりして…。)
  (…なんか考え方がひねちゃってる。最近変だぞ、望。)

【望】今日はほんとに楽しかった。
【小波】そう?雷は楽しかった?
【望】もう、そんなことばっかり言ってると嫌われるぞ。
【小波】ごめん、もう言わない。
【望】よろしい。
【小波】くくっ…。
【望】くすくす…。

  あっはっはっはっはっは…。

【小波】じゃあ、またクラブで。
【望】うん、じゃあな。

・自宅

【望】ただいまぁ
【母】お帰り、望、大丈夫だった?
【望】何が?
【母】昼間にすごい雷雨があったでしょ?
【望】あぁ、あれ?あんなの大丈夫、大丈夫。
【母】まぁまぁ、望も立派になったわねぇ。
【望】当たり前でしょ。いつまでも子供じゃないんだから。
【母】そう、じゃあ大丈夫ね。
【望】な、何がよ?
【母】夜になったらもう一度来るって、天気予報で…。

ぴか!
ゴロゴロゴロゴロ…。

【母】言ってたけど、って話。
【望】キャーッ、いい加減にしてーっ。


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