はい、清川です。
あの、小波ですけど。
なんだ、小波、何、私に用?
8月27日にプールへ行かない?
うん、いいよ。
じゃあ、8月27日にプールの前で待ち合わせということで。
わかった。遅れずに来いよ。
それはお互い様。それじゃ。
がちゃ。
(この間話したばっかで、電話かけて来るなんて積極的な奴だな。)
(私に気があんのかな?…まっさかねぇ。)
(さて…と水着は持ったし、忘れ物は無いな。)
(でもなあ、ちょっとこれデザインが古いんだよなぁ。)
(新しいの買えば良かったかな。部活が忙しかったし。)
それじゃ、いってきまーす。
【母】はい、いってらっしゃい。
バタン…タッタッタ…
【父】おい、今日も部活か?今日は活動日だったかなぁ。
【母】それが、今日は男の子とプールに行くんだって。
【父】な、なに?望が?そうか…。
【母】珍しいでしょう?初めてなんじゃないの?
【父】そうか、あの子もやっとなぁ。でも、なんか複雑だのぅ…。
【母】何言ってんのよ。めでたいじゃないの。
(ちょっと、この水着、古いって思われるかなぁ…。)
(恥ずかしいなぁ。やっぱ、辞めときゃ良かったかなぁ。)
(まあ、いいや!)
この水着、どうかな?
清川さんに似合って、可愛いよ。
(え、可愛い?私が?)
可愛い?なんか、照れるなぁ。
今日はとっても楽しかったよ。また今度誘ってくれよな。
ああ、また連絡するよ。
それじゃ、帰ろうぜ。
(あいつったら、水着が可愛いだって…。)
(なんか、こんなこと言われたのって初めてだなぁ。)
(なんか、うれしいなぁ。)
(今度会う時はおしゃれでもして行ってみようかな…。)
(あいつって、なかなか良い奴かもしんないな。)
(こんど、どっか誘ってみよっかな。)
【父】なあ、どうだったんだろうなぁ。
【母】うまくいったんじゃないの?まんざらでもなかったみたいだし。
【父】そうかぁ。なんか、うれしいやら、悲しいやら…。
【母】なんか、あの子ったら昔の私そっくりね。
あの頃もあなたがプールに私を誘って…。
【父】昔のこたぁ、いいだろ!今はあいつの問題だろ…。
【母】ふふふ…。