【母】望、まだ起きてたの?明日から学校でしょ、早く寝なさい。
うん、分かってるって。
(初日から寝不足じゃ洒落にもならない。)
(早く寝よう。)
どたっ!
あっ
(倒れちゃったよ。大丈夫かな。)
(仕方ない、バケツで水を…。)
ほら、目を覚ませ。
バシャーン!
やっと気がついたみたいだな。
俺、練習してて…。あれ、記憶がないぞ。
これぐらいの練習でへばるなんて、軟弱なんじゃないの?
介抱してくれたんだ。ありがとう…。あっ、清川さん。
私の事、知ってるの?
当然。水泳部にいる人はみんな知ってるって。
(へぇ、私ってそんなに有名なのかねぇ。)
(ところで、名前なんてったっけ?いいや、ごまかしちゃえ。)
君だけ私の名前を知っていて、私が名前を知らないのは、不公平だね。
あ、ごめん。俺、小波。よろしく。
よろしくね。それじゃ、十分休んだら、練習に戻って来いよ。
ありがとう。
あれ、もう泳いでる。根性有るのか無いのかよく分かんないやつだな。
【友人】どうしたの、望?ぼーっとして。
あ、いや、別になんでも…。
【友人】ひょっとして、彼を見てたのかな〜?
そ、そんなんじゃ無いって。
ただ、こないだ倒れたから大丈夫かなと思って。
【友人】ふーん。
な、なんだよ?
【友人】まあいいわ。じゃあね。
あ、おい!
(まったく…、何勘ぐってるんだか。)
(私は水泳一筋なんだから。)
【顧問】よし、今日で合宿も終わりだ。気合い入れろよ!
はい、頑張ります!
どさっ(ベッドに倒れ込む音)
(あぁ、疲れたな…。)
(小波って言ったっけ…。)
な、何考えてるんだ、私!?寝よ寝よ。