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■「1995.04.04」きらめき!入学式〜再会

[No.0000000016]植田
[No.0000000018]高野

・校庭

【顧問】君の活躍に期待しているよ。
【望】はいっ、まかせてください!

【望】今日は、きらめき高校の入学式。
  私、清川望は推薦でこの高校に入学した。
  いわゆる「スポーツ特待生」ってやつだ。
  自慢じゃないが水泳に関しては誰にも負けない。
  いや、負ける訳にはいかない。

【望】これからの高校3年間を考えるとちょっと気が重くなるけど、
  何にせよ回りから期待を掛けられているのには馴れてるから
  苦にはならない。むしろ心地よいプレッシャーだ。

【望】それよりも何だあいつらは。
  入学式早々じゃれあってたり、女に群がったり、男に群がったり…。
  いけね、そういえば私も回りを先生に囲まれているな。
  他人の事はいえた義理じゃないや。

【望】そろそろ式が始まるみたいだ。
【顧問】じゃ、会場へいこうか。清川君。
【望】顧問の先生に後押しされる様に私は体育館へ向かった。

・教室

【望】やっと解放された。まったく長い演説だったな。
  そういえば誰か貧血で倒れていたみたいだし。だいじょうぶかな?
  まっ、私に限ってはあり得ない事だけど。

【望】どうやら早速明日から平常授業のようだ。さすが進学校だな。
  でも私にこっちの期待はしても無理ってもんだ。
  目標は「冬の国体」だからな。

【望】それより、同じ中学からきた子がいないから、ちょっと暇しちゃうな。
  明日からお昼ご飯はどうしよっかな…。
  (自分で作ったら食えたモンじゃないし…。)

【望】あ、あれ。あの娘、なんか見覚えあるなぁ。
  誰だっけ?競技会かなんかで会ったことある娘かな?
  (あ、目が合っちゃった。)
  ささっ。
  (…何も慌ててごまかす事もなかったかな。)
  (あれ、あの娘なんかこっち見てるなぁ。なんだろ。)
  (なんかにこにこしてこっち来るぞ。)

【???】こんにちは、清川さん。私、覚えてる?
【望】(私のこと知ってるんだ。まいった。)
  (顔に見覚えがあるんだけど…、駄目だ。)
  えーと、ごめん。覚えてないな。競技会で、会ったかな?
【???】んー、地区予選で2度くらい会ったことはあるけど。
  私、あなたと小学校一緒だったのよ。
【望】えっ、ホント?
  (小学校小学校…。んー、思い出せない。)
【???】小学校の頃って、私太ってたから。(^_^;
  …水野明子よ。
【望】!えーっ、みんくん?
【みんくん】そ、お久しぶり。(^_^)
【望】ほんとぉ、全然わかんなかったよ。小学校卒業して以来だもんね。
【みんくん】そうね。中学の頃競技会で見かけても、望は真剣な顔つきで
  コーチと話し込んでるから、声かけられなかったわ。
  緊迫感が望んとこだけ違うって感じでさ。
【望】ふーん。みんくんも水泳してるなんて、全然気がつかなかった。
  じゃ、部活は…?
【みんくん】そ、水泳部に決まり。一緒に泳げるね。
  まっ、望とはメニューが違うとは思うけどさ。
【望】あぁ、私は水泳の特待生でこの学校入っただろ。
  結構プレッシャー感じてるんだけどさ。
  ここって設備とか充実してて評判いいし、コーチも信頼できそうな人でさ、
  気力十分って感じかな。
【みんくん】相変わらずね、望は。元気いっぱいで。
  小学校の頃もよく男の子と喧嘩してたし…。
【望】あれは男子が悪いんだ。みんくんのことからかったりするから。
【みんくん】そうそう。「デブの明子」をからかうと、「男勝りの清川」が現れるって、
  男の子の評判だった。
【望】えっ、あぁ、まいったな。なんだかさ…。
  ガラッ!
【みんくん】あっ、先生来たわ。じゃ、また後で。バイ!
【望】じゃね。
ごとごと
【先生】では、起立。礼。着席。
ごとごと
【先生】あー、今日から1年間、みんなの担任としてぇ…
【望】(…しっかし驚いたな。みんくんがこのクラスにいたなんて。)
  (昔の面影ないなぁ。すらっとしちゃってさ。)
  (でも、性格は変わらないなぁ。…くすっ、「男勝りの清川」か。)
  (男子は「男女の清川のぞむ」って呼んでたの、みんくんだって覚えてる)
  (はずなのに。気を使っちゃって。相変わらず優しいな、みんくん。)
  (ん、なんだか楽しみが増えたな。このがっこ。)


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