[前][戻][次]

■「1990.10.xx」ささやき!草野球

[No.0000000016]植田

【望】ただいまーっ。
【母】おかえり、あら、また出かけるの?
【望】うんっ、河原で野球するんだ。
  オレがいかないと負けるからさ…行ってきまーす。
【母】はあーっ、元気なのはいいけどもう少し女の子らしくならないかしら。
  好きな男の子でも出来たら変わるのかしら…。
  …少しは娘を持った母の心境を味わいたいものだわ。

【望】しまってこーぜ。

親の心子知らずである。

【望】ただいまーっ。
【父】望、ちょっと来なさい。
【望】なに?小遣いでもくれるの?
【父】父さんはおまえに「元気に育って欲しい」とは願っていた。
【望】うん。
【父】幸いおまえは病気一つせずにここまできた。
【望】はしかにはなったよ。
【父】判った、おまえに分かり易い様に話そう。
  もうちょっと女の子らしくできないか、望。
【望】えーっ、女の子らしいって、あのスカートはいたり…。
【父】そうだ。
【望】そんなの、オレに似合わないのは父さんが一番よく知ってるくせに。
【父】そういう努力をしてみないか、と言うことだ。
【望】オレに勉強と女らしさを期待するのは無茶だと思うけど…。
【父】まずその言葉遣いを直しなさい!

【望】ちぇっ、すぐ怒鳴るんだから。
  女の子らしく…か、できれば苦労しないよ。
  子の心、親知らず…だよな。

大間違いである。


[前][戻][次]