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■「1989.05.17」ささやき!みんくんとの出会い

[No.0000000006]馬渕

・みんくんの自宅

【母】ほら、明子!起きなさい!学校に遅れるわよ!
【みんくん】私、学校、行きたくない…。
【母】何言ってるの!早く起きなさい!
【みんくん】だって…男子がみんな私の事馬鹿にするんだもん…。
【母】なぁに?いじめられてるの?何で?
【みんくん】私の事デブとかぶたとか言って…。
【母】そんなの、痩せれば良いんでしょう?運動でもして痩せなさい!
【みんくん】だぁってぇ…。
【母】甘えた事言ってないで、早く支度しなさい!

・通学路

【みんくん】(はぁ…学校が近付いて来る…いやだなぁ…。)
【男の子1】あぁ〜!なんだ、風船水野じゃないかぁ!
【男の子2】ほんとだぁ!デブ水野だ!
【男の子1】お前って、ほんっとにデブだなぁ!歩くの大変だろ?
【男の子2】そんな事ねぇよ。デブって力だけはあるんだぜ!俺の鞄持てよ!
【男の子1】じゃあ、俺もぉ〜!
【みんくん】う…う…うぇぇ〜ん…。
【男の子2】あぁ〜!泣いちまったよぉ!!デブが泣いても可愛くないぞぉ!
【みんくん】ひ…ひどいわ…そこまで言わなくても…。
【男の子2】うるせぇ!デブなお前が悪いんだよ!

【望】おい!やめろよ!
【男の子1】なんだよ、イイカッコすんじゃねえよ。
【望】いくらなんでも泣かせるこたぁ無いだろ!
【男の子2】うるせぇな!こいつ!
ボカッ!
【望】いてぇな!こんちくしょう!
ボカッ!ドコッ!バキッ!
【男の子1】う…うぇぇーん…痛いよぉ…。
【男の子2】う…うう…くっそぉ…うぇぇーん!

タッタッタ…

【望】へっ!男のくせに泣くなんて、情けねぇなぁ。
【みんくん】あの…ありがとう…。
【望】いいっていいって。気にすんな。
【みんくん】あの…あたし水野明子って言うの。
【望】オレ、清川望。じゃあな。
【みんくん】あっ…。
  (かっこいいなぁ…清川望君かぁ…。)

・数日後の放課後

【男の子1】こぉのおデブ!針でも刺されて破裂しちまえ!
【男の子2】デブには生きてる資格が無いんだよぉ!
【みんくん】ぐすっ…ぐすっ…う…うう…。
【望】おい、なにやってんだよ!
【男の子1】あ、やべえ、この前の奴だ。
【男の子2】に、逃げようぜ…。

【望】おい…あれ?この前の?水野って言ったっけ?
【みんくん】あ…この前の…望くん?
【望】のぞみくんだぁ?オレはお・ん・な・だ!!
【みんくん】え?
  お、おんな…うそ…。
【望】ほんとだ!証拠もあるぞ!見せてやろぉか?
  (おもむろにズボンを脱ぐしぐさをして)
【みんくん】わ、わかった。ごめんなさい。き、清川さん…。
【望】お前、何年何組だ?
【みんくん】私…4年☆組。
【望】オレは4年○組だ。
  さっきの奴らがまたいじめに来るかも知れないから、一緒に帰ろうぜ。
【みんくん】そ、そうね。
      ・
      ・
      ・
【みんくん】ところで、のぞみくんってさぁ…。
【望】その「のぞみくん」ってのやめろよなぁ。
【みんくん】ご、ごめん…なんか、スポーツやってるの?
【望】水泳やってんだ。
  部活もやってるし、スイミングスクールにも通ってるぜ。
【みんくん】水泳って…痩せるかなぁ?
【望】そぉだなぁ、マジで水泳をやったら痩せるだろうな…。
  …そうだ、水泳でさっきの奴らを見返してやらないか?
【みんくん】え?
【望】お前が痩せたら、あいつらもきっと驚くぜ!
  それに、水泳って、すごく楽しいんだ!
【みんくん】そっかぁ…私もやってみようかな。水泳…。
  ねぇ、教えてよ。のぞみくん。
【望】あのさぁ、その「のぞみくん」…。
  もぉ、いいや。好きに呼んでくれ!
【みんくん】じゃあ、「のぞみくん」ね。清川さんって凄く抵抗あって。
【望】なんかひっかかるけど…まあいいや。
  今度、暇があったら、水泳部に来てくれよ。歓迎するぜ。
【みんくん】分かったわ。じゃあ、またね。の・ぞ・み・くん
【望】くっそぉ!絶対馬鹿にしてるだろぉ!
【みんくん】ごめんごめん。じゃあ、私は「みんくん」で良いから。
【望】「みんくん」ねぇ…こっちの方がかわいいじゃねぇか。
  まあ、いいや。じゃぁな。
【みんくん】それじゃあ。

・みんくんの自宅

【みんくん】ただいま〜!
【母】おかえり。今日は元気ねぇ。
【みんくん】うん、今日は一人友達が出来てねぇ、その友達に助けられちゃって。
【母】そう。よかったわねぇ。良くお礼言っときなさい。
【みんくん】はぁい。
  (それにしても、のぞみくんが女の子だったなんて…ちょっとショック。)
  (でも、良いお友達になれそうだわ。)

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