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■「1988.08.16」ささやき!小学3年生

[No.0000000006]馬渕

・日曜日

【望】あー良く寝た。さーて、公園で遊んでこよっと。
【母】あら、今日はねぼすけさんねぇ。
【望】…まだ10時だよ。じゃ、行って来るね。
【母】はいはい。気をつけてね。
  (どうも、あの子ったら、男の子みたいに育っちゃって。)
  (何とか女の子らしくなってくれないものかしら…。)

・きらめき中央公園

【望】(日曜日の昼間って、結構人がいるもんだなぁ。)

【大人達】(わいわいがやがや)

【望】どうしたんだ?
【大人】大変だ、子供が池に落ちたぞ!
【望】じゃ、オレに任せろ!
【大人】お、おい、いま助けが…。

バシャーン!ザバザバ…

【望】おい、大丈夫か!
【子供】た、助け…ゲホゴホ…。
【望】もうちょっとだ、頑張れ!
【子供】た、助…。
【望】お、おい、しがみつくなよ、泳げないじゃ…。
  大人しくしろっ!
【大人】もう少しだ、こっちこっち!
【望】(そう簡単にいくかよ…。)
【大人】よし、捕まって!

ザバー!

・岸に上がって

【望】ハアハア、大丈夫か?
  (なんだ、オレと同じくらいの年だな)
【子供】うぁあーん、恐かったぁ!
【女の子】駒人君、大丈夫?
【子供】あぁーん、詩織ぃ!助かったぁ!
【望】おい、大丈夫か?良かったなぁ。気をつけろよ。
【子供】あ、ありがとう。あの、名前は?
【望】別に、いいよ。名前なんて。じゃぁな。
【大人】ちょ、ちょっと、君…。

【女の子】(かっこいい…。)
【子供】どうしたの?詩織?
【女の子】あ、ううん、よかったわねぇ、無事で。
  (駒人君もあれくらいたくましかったらなぁ…。)

・うちに帰って

【望】ただいまー。
【母】望、どうしたの!びしょ濡れじゃないの!
【望】…溺れてる子を助けた。
【母】また…無茶しちゃって。怪我はない?
【望】へっちゃらだよ!
  それより、お腹すいたから、ごはん!

・次の日

【母】望、昨日の事が新聞に載ってるわよ。
【望】え、ほんと?…謎の少年、人名救助?なんだ、こりゃ。
【母】くっくっく…。
【望】しっつれいな!誰が少年だよ!もう!
【母】望ももう少し女の子らしくしたら?
【望】う、うるさいなぁ。もう、いいよ。めんどくさいから。

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