NO.1 2001年 1月 8日

ハァーハァー、フーフー

草

 

 
冷たい手にハァーハァーと息をかけると、手は温かくなり、

熱い湯はフーフーと息を吹くと冷めて飲みやすくなる。

同じ口から出る息である。

 

出会う度に家族のことや近隣・職場の出来事を話してくれる人が何人かいる。

Aさんは、「孫がねぇ、こんなこと言ってくれて本当に嬉しかったねぇ」とか

「おばあさんがこんなことしてくれて嬉しかったよ」とか、喜び多い話に感心する。

 

Tさんは、「子にこんなこと言われて腹が立った」とか

「嫁のくせにこんなことを言った」とか不平不満の多いのに驚く。

 

Aさんに対して相づちを打ち易いが、Tさんの場合は、どう対応してよいか迷う。

Aさんの家庭もTさんの家庭も、そんなに差があるわけではない。

ごく普通の家庭で、孫も子も嫁も、どちらが良いとか悪いとか比較できないのである。

この二つの家庭が、今はどうであれ5年先、10年先にはどう変わってくるだろう。

     

さて、マスコミが報じているようにずいぶんモノは豊かになったが

心も豊かになっただろうか。

ともすると心はなおざりにされ、貧しくなっているような気がする。

特に言葉(口)は貧しくなったと思う。

他人の悪口はウソでも面白がり、他人をほめる言葉、相手を楽しくさせる話は

なかなか出てこない。

日々使っている言葉は、今は口ほど心に思っていなくとも

それが積み重なれば口(言葉)に心がついてくるようになるに違いない。

喜びや楽しい話を多く持つようになると、ずいぶん心は安らぎ豊かな心になれるし、

相手にも良い影響を及ぼすことは間違いない。

同じ口から出る息(言葉)に、これほどの違いがあることを

自覚しなければならないと思う。

思いやりの温かいハァーハァーの息が、社会を明るくするのではないだろうか。

 

柵

 

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