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■「1998.03.01」だいすき!卒業

[No.0000000004]新里
[No.0000000006]馬渕
[No.0000000016]植田

・体育館

【望】いよいよ卒業…。だ、駄目。ぷれすての顔がまともに見られない。
  顔を会わせないようにしなくちゃ…。

【司会】ただ今より、きらめき高等学校、卒業式を行います…。

【望】この式が終わったら、ぷれすてに…。
  ああ、早く終わって欲しい、でも、終わらないで欲しい…。

【司会】次に、スポーツ功労賞の表彰です…。
  清川望さん…。
【望】え?…あ、はっ、はい!
【会場】(どっ…。)
【友人】なにしてるのよ、のぞみくん、前へ出るのよ。
【望】あ、そ、そか。

【司会】小波駒人くん…。
【小波】はいっ!

【望】(う、嘘、ぷれすてと一緒に表彰?)
  (そっか、インターハイに行ったから…。)
  (あ、だめ。顔が赤くなっちゃう…。)

【司会】…以上の人は、表彰台に上がってください。
  (表彰状を授与される)

【望】(落ち着いて、私の心臓…。水泳で鍛えてあげたでしょ…。)

【小波】緊張してる?(ぼそ)
【望】し、してないわよ。(ぼそ)
【小波】顔が赤いよ。
【望】ま、前を向いて…。

【司会】最後に、校長先生からの祝辞をいただきます。
【校長】晴れ渡る青空の下、我がきらめき高等学校から、多くの…。

・卒業式後

【望】お、終わった。
  ぷれすてが教室に戻る前に、この手紙を置いてこなくちゃ。
  ぷれすての席は…。ここね。
  お願い…。
  あ、みんなが戻ってくる。伝説の木の下に行かなくちゃ。
  (何歩か行き掛けて)
  …。(手紙を見つめる)
タッタッタッ…

【みんくん】みんながもうすぐ帰って来ちゃうわ。急いで戻らないと…。
  小波君の机…。あ、あった…ど、どうしよう…。
  のぞみくんを裏切る事になっちゃうけど…でも…。
  今まで我慢して来た気持を…やっぱり抑え切れない!
  さあ、明子!勇気を出して!
ガサゴソ(机に手紙をいれようとして)
【みんくん】こ、これ…。
  (あ、のぞみくん…。伝説の木の下に走って…。)
  (じゃぁ、これって…。)
  そっか…やっと…決心がついたってわけね…。のぞみくん…。
  でも…やっぱり、最後まで確かめないと、気がすまない!

・伝説の木の下

【望】あ、あとは、ぷれすてが来てくれるのを祈るだけ…。
  こ、こんなにドキドキするなんて…。
  心臓が破れそう…。
  水泳のスタートでも、こんなに緊張したことないのに…。
  ああ、落ち着かないわ…。
  (卒業証書の入ったケースを開けたり閉めたり)
  …。
  逃げちゃ駄目よ、望。…がんばるのよ。
  前を見なくちゃ、何も変わらないんだから。
タッタッタッ…
【望】あ、ぷれすて…来てくれたんだ…。

・少し離れた所

【みんくん】そう…そうよね…。
  分かってたのに…分かってたのに…。
  小波君の気持ちが、のぞみくんに向いてたことなんて…。
  分かって…。
  (涙がほほをつたう)
  私の恋って…こうなっちゃうのよね…。
  でも…うまくいってくれるなら…いってくれるなら…。
  …あきらめられる…。
  おめでとう…のぞみくん…。よかったね…幸せに…なってね…。
ビリッ(手紙を破って)
【みんくん】いつまでも泣いてなんていられないわ…。
  私はいつでも笑顔のみんくんなんですから!
  今度こそ、今度こそ素敵な恋人を見つけてみせる!
  のぞみくんみたいに…。

【???】え〜っと、「伝説…待って…」う〜ん、読めないな。
【みんくん】ちょ、ちょっと、誰?
【江田】おう、水野じゃないか、まだ帰らないのか?
【みんくん】(あ、涙を隠さなきゃ…。)
  う、うん、ちょっとね…。
【江田】ところで、この破れた手紙は何だ?
【みんくん】な、何でもないわよ。
【江田】…。
  ふ〜ん。何か、ラブレターみたいに見えるけどな。
【みんくん】そ、そんなことないよ。第一、なんで私が…。
【江田】あれ?俺は、水野が書いたなんて言ってないけどな。
【みんくん】あ…。
【江田】…。
【みんくん】い、いいじゃない。そんなこと…。
  それより、返してよ、それ。
【江田】嫌だ…と言ったら?
【みんくん】お、怒るわよ!
  ねぇ、お願いだから、意地悪をしないで。
  今は…一人になりたい気分なの。だから…。
【江田】何かあったのか?
【みんくん】ば、馬鹿!あなたなんかと関係ないわよ!
【江田】ま、待てよ、水野!
  悪かったよ。ごめん。意地悪するつもりじゃなかったんだよ。
【みんくん】…。
【江田】あのさ、この手紙…。
  せっかく水野が心を込めて書いた物なんだろ?
  破いて捨てられちゃうなんて、可哀想だよ。
【みんくん】…。
【江田】あ、あの、俺じゃ駄目か?…この手紙。
【みんくん】え…?
【江田】実は俺、以前から水野のこと…その…。見てたんだ。
  水野って、いつも誰かのことを応援してるだろ。
  だから、今度は、俺、俺が水野のことを…。
【みんくん】…。
【江田】だ、駄目か?
【みんくん】ありがとう…。
  でも、今ここで優しさに流されちゃうと、あとで自分の気持ちが
  判らなくなると思うの。
  だから、すぐにはお返事出来ないわ…。
【江田】いいよ。水野が落ち着くまで、ずっと待ってるから…。
【みんくん】ありがとう…。
【江田】じゃぁ、帰るか…。
【みんくん】ちょっと待って…。
【江田】ん?
どんっ
【みんくん】…何も言わないで。
  今だけ…泣かせて。
【江田】…ああ、いいぜ。
【みんくん】うっ…ひっく…。
【江田】み、水野…さん…。
【みんくん】(のぞみくん、小波君と幸せになるんだよ…。)

・伝説の樹の下

【小波】き、清川さん…。
【望】ごめんなさい。こんな所に、呼び出したりして。
【小波】別に、いいよ。どうしたの?
【望】今日で卒業だから、あなたに、どうしても話しておきたいことがあって…。
  聞くだけでもいいから…。
【小波】うん…。聞くよ。
【望】いままで水泳ばかりで、愛だの恋だの言ってる暇もなかったし、
  貧弱な男の子ばっかりで、私の興味を引く男の子もいなかったから、
  今まで気にもしてなかったけど…。
  いつごろからかな、もう覚えてないけど…。
  あなたの存在が、気になってきて、練習にも身が入らなくて…。
  最近では、夜も眠れないくらいに、胸がどきどきして…。
  私、男っぽいって言われ続けてきても、気にもならなかったけど、
  あなたにだけは、そう思われたくない。
  だから、あなたの前では、男言葉を話さないように注意してきたつもりだし、
  行動だって…。
  これでも駄目なら、水泳も捨てるわ。
  髪の毛だって、あなたが望むなら、いくらだって伸ばすわ。
  ご、ごめんなさい…。勝手なこと言っちゃって…。
  でも、断られたっていいの。
  ただ、こんな気持ちで、卒業したくないからわたしの気持ちだけ、聞いて。
【小波】う、うん…。
【望】好きよ…。夜も眠れないほど…。
【小波】…………。
【望】そ、そうよね。やっぱり、私なんかじゃ駄目ね。
  でも、言ってせいせいしたわ。
  ありがとう、聞いてくれて。
【小波】き、清川さん。待って。
【望】引き止めないで。引き止められたら、期待しちゃうじゃない。
  慰めの言葉なんてかけられたら、惨めじゃない。
【小波】清川さん。俺も好きだよ。
【望】えっ?今なんて…?
【小波】俺も、清川さんの事が好きだって言ったんだよ。
【望】ホ、ホントに?こんな、水泳しかとりえの無い、私で…。
【小波】もちろんだよ。
【望】だ、駄目。もう、涙が止まらない…。
  お願い。あなたの胸の中で泣かせて。
【小波】いいよ。
【望】嬉しい。最高に幸せ…。

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