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 吹田貨物駅(仮称)建設事業の環境影響評価準備書についての意見書
                             (2002年3月20日提出)
 
その内容は以下の項目からなっています。

  1【はじめに】
  2【貴重な動物について】
  3【ヒートアイランドについて】
  4【ゼロエミッションについて】
  5【地球環境について】
  6【貨物専用道路について】  すいた市民環境会議の提言
  

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 吹田貨物ターミナル駅(仮称)建設事業の実施計画書についての意見書
                     すいた市民環境会議   

1 【はじめに】
  すいた市民環境会議(以下、当会)は2000年2月に(仮称)吹田貨物駅建設事業の実施計画書(以下、計画書)についての意見書を提出しました。

 市民からの意見は、今回の環境影響評価準備書(以下、準備書)の45頁から54頁にわたり「実施計画書について環境の保全の見地からの意見を有する者の意見書の概要及びこれに対する事業者の見解」で、その扱い、見解が示されています。

 当会は、提案しました数点を含め市長の意見書に従い、計画書には記載されていなかった内容、すなわち現地での動植物調査、説明会での模型の展示、CG上映などを準備書やその説明会で実施されたことを評価いたします。

 中でも、市民からの意見の中ではごく少数でありました、高架道路を平地化する提案が採用されたことは、吹田市環境影響評価条例の恩恵を享受できたと、吹田市民として誇りに思います。

 もし吹田市に環境影響評価条例がなかった場合を考えますと、あの高架道路の案がそのまま実施されていたわけで、背筋が寒くなります。
  
 さて、今回の準備書について、以下、当会の意見を述べます。意見書はこの頁と添付図を含めて8頁です。


 2 《貴重な動物》

   準備書440頁に「貴重な動物が確認されているが、ほとんどは別の地域へ逃避する」と片づけている。さて、どこへ逃避すると考えているのだろうか。

   ヒバリやケリなどは、営巣場所・隠れ家・餌場・縄張りなどに一定の広さが必要である。しかし吹田市域やその付近ではもはやそのような広い場所はほとんど存在しない。つまり、別の地域へ逃避するにも「できない」と考えられる。

   アセスの事後監視で調査項目にこれら貴重な動物および吹田市民にとっては今や貴重な動物となっている草原の生き物であるヒバリやケリなどの逃避先を含めて頂きたい。

   念のため当会が2000年2月に提出した(仮称)吹田貨物駅建設事業の実施計画書で述べていることを再度記す。春先に岸辺駅プラットホームで聞こえるヒバリのさえずりは吹田の原風景を思い起こさせるものである。 現在吹田市域の万博、紫金山、神崎川ではヒバリのさえずりは聞かれず、ケリの繁殖は吹田操車場跡地以外では、ほぼ皆無である。「人と自然との触れ合いの場」は岸辺駅そのものに存在しているのである。



 3 《ヒートアイランド》

  準備書によると、現在の草原がコンテナホーム・中継コンテナホーム・駅本屋などに代わり、アスファルトなどで覆われたものになる。駅本屋などの建物の屋上緑化や市との境界部分でビオトープを創出するなど、ヒートアイランド現象を少しでも低減させる手段を講じて頂きたい。

 4 《ゼロエミッション》

  準備書479頁「廃棄物(7)環境の保全の目標との整合性に係わる評価」では「貨物駅施設から排出される廃棄物は、吹田市におけるごみ総量の約0.13%であり、大きな影響はないと考えられる」と評価し、準備書477頁の食堂から出る厨芥類の処理方法に「一部堆肥化」とある。しかし「一部」という表現ではわからない。

  これでは市長の意見書(62頁)の付帯意見である「廃棄物のゼロエミッションを目指した取組について十分に検討すること」の回答になっていない。

現在すでに吹田市の  ごみ焼却量は焼却炉の処理能力の限界を超えている。ISO14001取得を目指す事業者として、「廃棄物のゼロエミッションを目指すことは当然のこと」として対処しなくてはならないと考える。

 5 《地球環境》

  準備書54頁にある市民からの意見「中継コンテナホームや駅本屋などの屋上に太陽光発電装置を設置し、冷暖房の電力を自給または補完していただきたい」に対しては「詳細設計で検討」とのことである。検討ではなく実施していただきたい。


 6 《貨物専用道路》

   準備書では出入口は二車線で南清和園公園南西で十三高槻線に合流することになっている。しかし、ここは小学校や保育園がすぐそばに存在する場所である。

   貨物専用道路は城東貨物線の北側を西進してくるのだから城東貨物線の西側に出るのが自然である。地下道を掘って、敢えて貨物線の東側に出る理由の説明が必要である。(図−1 参照)

 図−1 トラック道路の準備書案 
提案A  小学校や保育園の存在を考慮すると、貨物専用道路の出入口は城東貨物線の西側が好ましい。説明会での質問に対し、城東貨物線の西側には二車線を確保する敷地がないとの説明であったが、城東貨物線の法面を補強しても不可能か?
提案B  説明会会場で城東貨物線の東西両側に一車線の道路を設け、東海道線の地下で合流する方法(長ズボン形式)を提案したところ「穂波町側に掘削機器を搬入できず、技術的に不可能」とのことであった。しかし、この点の再考を願う。


 仮に上記の提案A・Bが不可能であることを前提として以下の提案をする。

提案C−1 出入口を城東貨物線の西側へ

 現場を視察したところ、城東貨物線の西側(南吹田1丁目)に一車線道路の確保は可能であろうと推察した。そうであるならば、一車線の貨物専用道路の出入口を城東貨物線の西側(南吹田1丁目)に設置することを提案する。
 この提案、および可能な限り鉄道敷地を利用するという考えをふまえ以下の提案をする。
提案C−2 南吹田−千里丘の一方通行案

 貨物専用道路は(仮称)吹田貨物駅で折り返す方法を採っているが、当会が計画書についての意見書で記した『千里丘駅の北東方向に存在する大阪貨物ターミナルへの引き込み線の横を利用して近畿自動車道(中央環状線)に導けば大阪方面へのトラックの動線が短くなる』という提言を再検討願いたい。

 上記提案C−1の城東貨物線の西側を入口とし、大阪貨物ターミナルへの引き込み線(茨木市宇野辺2丁目)が出口となる一方通行を提案する。

 これにより、南吹田の十三高槻線を通過するトラック台数は半減し、大気汚染への寄与率も半減するだろう。この効果は東淀川区以降、新御堂筋にも及ぶものである。

 そして、一方通行の一車線であるので、道路の幅員は準備書の半分となり、穂波町・泉町・西の庄町に現存する線路の北側法面の草むらが温存されよう。
提案C−3 庄内新庄線から直接鉄道敷地へ

 新御堂筋から(仮称)吹田貨物駅に向かう上りトラックなどは庄内新庄線の東淀川区東三国2丁目から直接現在の上り貨物線(跡地)に上がる方法である。

 以下の説明を簡略化するために上り貨物線を(上貨)、下り貨物線を(下貨)、上り梅田貨物線を(上梅)、下り梅田貨物線(下梅)と表す。

 庄内新庄線の東淀川区東三国2丁目から直接(上貨)に上がったトラックなどは、一車線で東進し神崎川を渡り、穂波町以東、準備書と同じルートで(仮称)吹田貨物駅に向かう。

 一方(仮称)吹田貨物駅からの下りトラックなどは、同様に穂波町まで達し、地下道で南吹田1丁目に出る。こうすれば、一車線で城東貨物線の西側に出口が設けられるであろう。

 このように、東三国2丁目から現在の(上貨)を道路とするためには、現状や準備書に記載されている貨物線の使用方法の変更が必要となる。


 以下の説明を理解するには現状の線路の配置を理解する必要がある。(図−2 参照)

 図−2 2002年現在の貨物線路略図  
 現在、基本的に、貨物線は岡山・広島方面に向かう上下の貨物線と、梅田に向かう上下の梅田貨物線との合計4本の線路が存在している。
(上下梅田貨物線の途中から城東貨物線が単線で枝分かれしているが、以後の説明には無関係なので省略する。)

 4本の線路の配置は場所によって異なっているので、以下説明する。
(線路は北東から南西に走っており、正確に表現すると複雑になるので、ここでは線路が東から西に走っているものとして説明する。)

【東部】吹田駅から南吹田1丁目−穂波町付近までは、
北側から(上貨)(上梅)(下梅)(下貨)の順に並んでいる。

【移行部】南吹田1丁目から南吹田3丁目にかけて(下貨)が立体交差で(下梅)(上梅)を越えて(上貨)の南隣に下りてくる。

【西部】従って南吹田3丁目以西は新大阪駅まで
北側から(上貨)(下貨)(上梅)(下梅)の順になっている。


図−3 すいた市民環境会議の提案

図の右の方(=千里丘)で出れば吹田市内に出入り口はなくなる。
(提案E 参照)

 【提案C−3の補足】まず上り線を(=図の西から東に)考えると、(図−3 参照)
(1)新大阪駅構内東部で(上梅)は(下貨)を横切り(上貨)に合流する。このまま(仮称)吹田貨物駅まで(上貨)と(上梅)とは同じ線路を使用することになる。
《これは準備書9〜10頁の配線略図にある穂波町付近での(上貨)と(上梅)との合流を約3km西に移行したことになる。》

(2)つぎに(上貨)は東淀川駅付近(東淀川区宮原1付近から東三国2までの間)で(下貨)に入る。同時に(下貨)は(上梅)に入る。
《(1)で説明したように、新大阪駅構内で(上梅)は(上貨)に合流しているので、この場所では(上梅)は空いている》

(3)南吹田3丁目付近で(下貨:ここでは上貨+上梅が走る)は立体交差で登っていくようになる。その立体交差にさしかかる手前(西側)で、立体交差の法面の北西斜面を削り、新たな線路を敷設し、穂波町付近で現在の(上梅)に合流する。以後準備書と同じルートとなる。
以上は上り線からみた、使用線路の変更である。
 つぎに(下貨)下り貨物線の立場から(=図の東から西に)見るとつぎに(下貨)下り貨物線の立場から(=図の東から西に)見ると
(4)(下貨)は南吹田1丁目から立体交差で(下梅)(上梅)を超える。南吹田3丁目で立体交差が終わるところから(上梅)に入るようにする。そして東淀川駅付近で上記(2)のごとく(下貨)に復帰するのである。

 なお、上記変更の際(下梅)はまったく変更を伴わない。


 以上の説明は文章での表現に限りがあるので、図面を添付する。

 なお、この内容は当会会長が説明会会場で、日本鉄道建設公団国鉄精算事業本部・西日本支社職員に図面とともに提案し、提案の内容(上記記載内容)は理解されたものと思っている。

提案D 対面通行

 提案C−3の場合、本準備書と同じく穂波町以東の貨物専用道路は二車線になるが、信号処理による一車線の対面通行として、穂波町・泉町・西の庄町にある現在の法面の雑草を温存して頂きたい。準備書では、この法面の動植物アセスがおこなわれていないが、ここにも昆虫やそれを補食する野鳥が集まっているのである。
 一時間に最大64台程度の通行量なら、一車線として信号処理で対面通行としても業務に支障をきたすとは想像しがたい。
提案E 吹田市内に出入口を設けない方法

 提案C−2(千里丘から近畿自動車道へ行く方法)と提案C−3(庄内新庄線から直接鉄道敷地に上がる方法)を用いれば、入口は東淀川区東三国2丁目、出口は茨木市宇野辺2丁目となる一車線の一方通行が可能である。
 この方法を採ると、吹田市内に出入口は存在しなくなり、交通事故発生の確率や、余分な大気汚染・騒音の影響を受ける範囲を軽減できることとなる。勿論、東海道線の下を掘削してトンネルを作る工程も不要となり、工費、工事期間の大幅な削減に繋がると考える。


 本来、当会として吹田に梅田貨物駅の機能の半分が来ない方策を提案したかったのですが、吹田市環境影響評価条例の範疇で閣議決定や、いわゆる五者協定をくつがえすだけの対案を作成できませんでした。

 しかし、21世紀の吹田市における環境を考えるとき、吹田市(および東淀川区)への本事業による影響を可能な限り少なくするために提案を含め、意見を述べました。         以上

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