す環会第45号 2007.1.31
吹田市長 阪口善雄 様
すいた市民環境会議
≪22世紀の夢を買いましょう・吹田100年の森構想≫
吹田操車場跡地問題に関して、すいた市民環境会議は環境アセスの前段階から提言をするなど、当初から関わってきました。その結果、高架にする計画であった専用道路の大部分が、地表に下りることになり、景観に及ぼす影響が大きく低減されました。
トラックターミナル設置が決定された今、「吹田市の利用可能地をどのようなものにするかによって吹田市民の民度が問われている」と言っても過言ではないでしょう。しかもその評価は50年後、100年後になされるのです。
万国博覧会跡地を経済優先の土地利用としなかったことが今日の豊かな自然公園をもたらし、お金に換算できない莫大な価値を生んできたことは、周知の事実です。
千里ニュータウン開発を契機として吹田市内は都市化に向かい、それ以前にあった吹田の自然環境はほとんどなくなってしまいました。一方、開発から四十余年を経過した千里ニュータウンに新たな緑地環境も育っています。しかし残念ながらその新しい緑地環境にはヒメボタルや里山のような、吹田市の原風景であった姿を見ることができません。
このように一旦開発すると、自然の復元には膨大な時間を要することを20世紀生まれのわれわれは学んできたところです。
この開発に手を染めた20世紀の人間がさらに「次世代のために」と行政案のような開発をすることが本当に「次世代のために」なるでしょうか。
敢えて手を加えるのなら大半の敷地を森にして、開発の内容は次世代の智恵にゆだねるべきであると考えます。
すいた市民環境会議は、吹田操車場跡地の大半を森にする「吹田100年の森構想」を提言します。
その用地取得に当たっては、市民一人ひとりが一定の面積(例えば100平米)を購入し" (個人で土地を登記しない)
心の地主"となり、購入した土地は"譲渡不能"とし、吹田市が管理するナショナルトラスト方式を提言します。
理由
@ 吹田市JR以南地域の緑被率は、8.2%と非常に少ない。(平成10年・吹田市環境基本計画)しかし、千里ニュータウン地域では、33.8%と緑地が多く、著しい南低北高の状態にある。吹田操車場跡地の大半を森にすると、この格差は少しでも解消できる。
また、JR線路沿いに大緑地帯ができることで、JR利用者も吹田市民にも精神的ゆとりと潤いの効果をもたらす。
A これからは行政も市民もが、率先してヒートアイランド対策を講じる時期である。みどりの森にすることで、地球温暖化防止に寄与することになる。
B ニューヨークのセントラルパーク、ベルリンのティーアガルデン、東京の明治神宮の森は子々孫々までの宝物であるように、吹田市が管理するナショナルトラスト方式で、市民が作った森は子々孫々までの宝物になる。
C 吹田市の計画する「基盤部分のみの土地を購入し、他の部分に利用規制をかけ民間に任せる案」は、転売による乱開発など当初の理念が経済環境により左右される危惧がある。千里ニュータウン地域においても、当初の理念を逸脱した開発も見られるようになっている。みどりの森にして、未来の吹田市民に開発の選択肢を残すべきである。
D 地面を深く掘る必要がなく埋蔵文化財の調査が将来に先送りでき、経費がかからない。100年後には「地面を掘らなくても埋蔵文化財の調査が可能になる」かもしれない。20世紀初頭からの科学技術の進歩を考えたとき、100年先の可能性はまったくの夢物語とは言えまい。
以上
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