体験!時速500キロ(リニア試乗記)


実用化に向けた走行試験が続けられているリニアモーターカーですが、昨年新編成が落成し、2003年4月18日からついに500km/hの試乗運転が開始されました。幸運にもまさにその初日、試乗会に参加させていただく機会に恵まれました。

 500km/h運転試験中の新型車両

まず、山梨県都留市にあるリニア見学センターに集合。会議室で、資料、車内での座席が書かれた指定券、そして乗車日と自分の名前が印字された乗車証明カードを受け取り、中央新幹線とリニアモーターカーに関する簡単な説明を受けます。そしてほどなく乗車開始。

 乗車口へ向かう通路

入口は航空機のボーディングブリッジと同様の形式になっており、駅舎側にある蛇腹式の乗降口がリニアのドアに密着する仕組みになっています。

乗降口 C gate 乗降口(別の形式が何種類かある)

いよいよ車内に入ります。座席配置は2−2で、内装は新幹線300系や700系に準じていますが、天井は少し低く、やはり小型の旅客機に乗ったかのような印象です。

 リニア車内。DHC-8の機内ではありません(^^;)

いよいよ出発。まず見学センターから分岐器を通って、本線へ出ます。分岐器を本線側に戻して、東京方の終端部へ向けて後ろ向きに加速開始。ちょっと踏ん張っていないと椅子からずり落ちてしまいそうな気がするくらいの加速で、あっという間に最高300km/hに到達、すぐに減速に入ります。なお東京方の終端部には、車内からは見えませんでしたが、車両基地があるそうです。

そして、ここからが本日のメインイベント、甲府方終端部へ向けて、最高500km/h運転です。加速にかかる時間を計ってみたところ、100km/hまで20秒、200km/hまで30秒、300km/hまで45秒、400km/hまで60秒、そして最高500km/hまでわずか80秒で到達してしまいました。500km/hの状態が約8秒続いたあと、減速に入ります。

 501km/hの瞬間。自分の撮影では手ぶれしていましたので、同乗の方にいただきました。

乗り心地は、120km/hまではタイヤ走行ですが、飛行機が滑走路上をタキシングしているような、また新交通や跨座式モノレールでも感じるような、タイヤからの振動があるのは仕方がないでしょう。そして、タイヤが格納され、浮上運転になったことは、タイヤの走行音が消えることでわかります。実は、いわゆる「たばこが倒れない」というような非常に滑らかな乗り心地を想像していたのですが、浮上運転になってからも小刻みに突き上げるような揺れが続きました。

そして、浮上運転からタイヤ走行に移るときは、これまた飛行機が着陸するときのようなドスンという軽い衝撃があり、それがわかります。

なお、静粛性ですが、当然モーター音もなく、浮上運転になってからは聞こえるのは風切り音ばかりで、車内の静粛性は優れています。

そして車窓ですが、残念ながらほとんどがトンネル区間なので、見えるのはトンネル内の照明ばかりなのですが、もちろん目で追えるわけもなく、確かに光の筋のように見えました。500km/hという実感はあまり湧きませんでしたが、やはりものすごいスピードで走っているということだけは感じました。

また曲線半径は8000m、カントは10度取ってあるそうですが、それでもカーブの際は相当椅子に押しつけられました(通常の鉄道と比べての話)。

甲府方の終端に着いたあとは、最高400km/hまで出して、見学センターに帰還。これで一連の試乗は終了です。

 23mあるフロントノーズ。長い!


最後になりましたが、このような機会を与えてくださり、ありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。