かるいかるい、普段のロードワークの半分ぐらいじゃない。
あと一枚か。えっと…、小波…。
(あれっ、これってどうしよう。)
(そういえば年賀状が一枚余ったから男子の連絡表を見て書いたんだっけ。)
(渡そうかな、でも男子に年賀状なんて出すの初めてだし…。)
えーい、そんなに考える必要ないか。
あった、ここだ。
(えっ、向かいが『藤崎』。ってあの藤崎さん家って事?)
なんだ、小波君と藤崎さんってお隣さんなんだ。
(あれっ、何でホッとしてるんだろ、私。)
ポトッ
(とうとう出しちゃった。)
(返事くれるかな?)
(落ちつくのよ、望。)
はい、清川です。
新年明けまして、おめでとうございます。小波ですけれども。
駒人。明けまして、おめでとう。
ところで、清川さん。今、暇かな?
暇だよ。
これから初詣に行かない?
(キャー。どうしよう。)
そうだね。行こっか。
それじゃ、神社の前で待ち合わせでいいかな?
うん、いいよ。
それじゃ。
ガチャ。
【母】小波君っていったら、いつも望が言ってる…。
うん、同じクラブの子。じゃ、母さん行って来るね。
【母】望、着替えは?
あっ、いいのいいの、まだそんな付き合ってる訳じゃないし。
【母】片思いかい?
もぅっ、違うったら!
(母さんったら、意識しちゃうじゃない。)
ぱんっぱんっ
何を、お願いしたの?
ひ、秘密だよ。清川さんは?
私も、教えないよ。
(あっぶない。返事にこまっちゃった。)
そ、そう。あっ、おみくじでも引かない?
そうだね。
(よかった。気づいてないみたい。)
じゃっ、私んちこっちだから。
家の前まで送るよ。
えっ、いいよ、まだ明るいし。それじゃ!