「1998.03.01」卒業、そして…

[No.0000000001]山本

・3月1日、午前、HR教室

小波  |あ〜あ、やっと終わったよ。
    |全く校長の話はいつもいつも長いんだからなぁ。
好雄  |まあでも、これでついに卒業だな。
小波  |勉強はあんまり好きじゃなかったけど、
    |もう来れないと思うとちょっと寂しいな。
好雄  |まぁそう言うな。
    |高校卒業で青春まで終わる訳じゃない。
小波  |まじめな顔してクサい台詞をはくな!
好雄  |ははは、いいじゃないかこんなときぐらい。
小波  |それもそうだな。
好雄  |俺はそろそろ帰るぞ。
    |じゃあ小波、「また」な。
小波  |あぁ、「また」な。
    |(そうだよな…)
    |(高校卒業しても、それで友人まで居なくなるわけじゃない)
    |俺もそろそろ帰るか…。
    |あ、机の中整理して帰らないと。
    |ごそごそ
    |ん?
    |ぱさっ
    |ん?
    |(封筒だ…)
    |(昨日まではこんなの無かったぞ?)
    |なになに、「伝説の樹の下で待っています」?
    |名前は…、書いてない。
    |日付は今日だな。
    |よし、伝説の樹の下に行ってみるか。

・3月1日、午前、伝説の樹の下

小波  |さぁ、誰がいるんだ?
詩織  |駒人君。
    |来てくれたんだ。
小波  |し、詩織?
    |…なのか、手紙をくれたのは?
魅羅  |違うわ、あれはみんなからの手紙なのよ。
小波  |うわっ、か、鏡さん!?。
詩織  |メグ、出てらっしゃい。
美樹原 |で、でも…。
詩織  |「諦めない」んじゃ無かったの?
美樹原 |私…、諦めません。
如月  |私も諦めません。
    |自分から負けたくは無いですから。
小波  |美樹原さん、如月さん…。
清川  |よく来たな。
    |ひょっとして来ないんじゃないかって思ってたんだけど。
朝日奈 |だって、みんな手紙を入れに来るんだもん。
    |びっくりするよね。
古式  |悔 い を 残 し て 卒 業 し な い よ う に と、
    |お 母 さ ま も 仰 い ま し た し …。
小波  |清川さん、朝日奈さん、古式さん…。
優美  |先輩…。
小波  |ゆ、優美ちゃんもいるのか。
紐緒  |なぜだか分からないけど、みんなの行動がシンクロしてしまったのよ。
小波  |紐緒さん…。
片桐  |アンビリーバブル、信じられない。
    |本当に分からないの?
    |紐緒さんが自分の行動を理解してないなんて、
    |イッツ ソー ストレンジャー、珍しいこともあるものね。
紐緒  |私は自分のやっていることは理解しているわ。
    |ただ、何故それが、こうも多くの人間と一致した行動になるのかが
    |分からないだけよ。
館林  |みんな、小波君が好きなんだよね。
小波  |片桐さん、館林さんも。
伊集院 |結局、卒業してから後悔したくないって事よ。
    |みんなね。
小波  |い、伊集院…さん。
    |み、みんな、一体…。
詩織  |みんなね、きらめき高校を卒業する前に、駒人君に言っておきたいことが
    |あるんだって。
    |もちろん、私もね。
小波  |言っておきたいこと…?
詩織  |うん…。
    |とにかく、みんなの話を聞いて。
    |それから選んで欲しいの。
小波  |選ぶ?
詩織  |そう、選ぶの。
    |じゃ、私からいくね。
    |…、あなたは私のこと「ただの幼なじみ」だと思ってるかも知れないけど、
    |私は幼なじみじゃイヤ。
    |一人の女の子として、私を見て下さい。
    |あなたが好きです。世界中の誰よりもあなたが、好きです…。
    |以下、女の子達の告白が続く。
    |(気力が続かなかった(^^;)
詩織  |私たちの言いたいことはこれで終わり。
小波  |……。
詩織  |あなたが誰を選んでも、誰も選ばなくても、恨んだりしません。
    |ただ、あなたの気持ちだけ、聞かせて下さい。
小波  |俺は……

・1999年4月、午後、公園の噴水前

小波  |(俺は、あのとき…)
    |(彼女を…)
女性  |考え事?
小波  |えっ?
女性  |ごめんなさい、用意に手間取って、遅れてしまって。
小波  |いや、いいよ。
    |そんなに待った訳じゃないし。
女性  |ねぇ、何を考えてたの?
小波  |うん…、あの日の、事をね。
    |「やっぱり俺の選択は正しかったな」って。
    |じゃ、行こうか。
    |END