「1998.02.28」野望を実現するために〜紐緒結奈〜
[No.0000000013]柴田
・学校の帰り、近所の公園
紐緒 |待ってたわ。駒人君
小波 |ひ、紐緒さん。今日デートの約束してたっけ?
紐緒 |……今日は私があなたに用があって待っていたのよ。
小波 |え?うれしいなぁ。何の用?
紐緒 |私の野望を達成するために邪魔なあなたを始末するのよ。
小波 |ちょ、ちょっと待って。俺は紐緒さんの邪魔をした記憶はないよ。
紐緒 |あなたの存在自体が邪魔なのよ。
小波 |そ、そんなぁ。;_;
紐緒 |さあ、覚悟しなさい。
小波 |ちょ、ちょっと待って。野望っていったい何?
紐緒 |世界征服よ。
小波 |はぁ?せ、世界征服?もう、冗談ばっかし…。
紐緒 |物理的な準備は整ったわ。でもあなたのおかげで心の準備がまだなのよ。
小波 |もっ、もしかしてマジ?
紐緒 |さあ、覚悟しなさい。
小波 |ちょ、ちょっと待って。ど、どうして俺のせいなんだ?
紐緒 |だから、あなたの存在自体が邪魔だって言ってるでしょ?
小波 |そ、そんなぁ。;_;
紐緒 |ここであなたに勝利すれば、全て解決するわ。さあ、覚悟しなさい。
小波 |ちょ、ちょっと待って。公園じゃ被害が出るから、砂浜へ行こう。
紐緒 |被害を恐れていたら世界征服の野望は達成できないわ。さあ、覚悟
|しなさい。
小波 |うわー、紐緒さん。今日はいつもにましてムチャクチャだよぉぉぉぉ。
紐緒 |待ちなさい。逃がさないわよ。
・同じく、近所の公園
朝日奈 |ちょっと、ゆかり。今の見た?聞いた?
古式 |は い。拝 見 致 し ま し た。楽 し そ う で し た ね ぇ。
朝日奈 |それマジ?私にはすっごく危険な雰囲気に見えたんだけど…。
古式 |そ う で す か? そ れ は こ ま り ま し た ね ぇ。
伊集院 |やあ、君たち。こんなところでどうしたんだい?
朝日奈 |伊集院君!
古式 |こ ん に ち は、今 日 は 珍 し い と こ ろ で お 会 い い た し……。
朝日奈 |ゆかりったら、のんびり挨拶している場合じゃないっしょ。
|大変なのよ。伊集院君。今、紐緒さんがぷれすてを始末するって…。
伊集院 |何!小波を!
古式 |ま あ、そ れ は 困 り ま し た ね ぇ。
朝日奈 |あーん、もう、ゆかりったらぁ。;_; ;_;
伊集院 |朝日奈君。今の話は本当かい?
朝日奈 |マジマジ、もう大マジよぉ。ねぇ、どうしよう。
伊集院 |よし、僕にまかせたまえ。君たちは危ないから安全なところに避難し
|ていたまえ。
朝日奈 |あ、伊集院君、待って。
古式 |ご き げ ん よ う。ま た お 会 い し ま……。
朝日奈 |あー、行っちゃったぁ。ねっ、ゆかり。私は伊集院君を追い掛ける
|けどあなたは安全なところに避難するのよ。
古式 |安 全 な と こ ろ と 申 さ れ ま し て も……。お や、行 っ て
|し ま わ れ ま し た ね ぇ。
・駅前商店街
小波 |ふう。ここまで逃げてくれば大丈夫だろう。
|ずずーん
通行人1|うわー、あれはなんだ。
小波 |なっ、なんだ。あの巨大ロボットは!
紐緒 |真・世界征服ロボ!さあ、覚悟しなさい。
小波 |どわー、紐緒さん。いつの間に!
紐緒 |逃がさないわ。さあ、大人しく始末されなさい。
小波 |うわー、助けてぇ。
紐緒 |逃がさないって言っているでしょう。
|ずずん。ずずん
通行人2|うひゃぁー、ここは大泉学園だったのかぁ。
通行人1|ばかやろう。いくら大泉学園でもこんな撮影があるかぁ!
|ずん、ずん、ずん。
・とある道ばた
朝日奈 |見失っちゃったよぉ。;_;
片桐 |はーい、夕子、ホワッツアップ。なにしてんの?
朝日奈 |あっ、片桐さん。実はね……。
片桐 |えー、リアリー?紐緒さんが小波君を?アンビリーバブル。
朝日奈 |伊集院君が追い掛けていったんだよ。あーん、私もさがさなくっちゃ。
片桐 |ちょっと待って、オーノー、行っちゃった。
清川 |彩子、どうかしたの?今の朝日奈さんでしょ?
片桐 |あ、望。今、聞いたんだけどね……。
清川 |え?紐緒さんがぷれすてを!
片桐 |ね、始末するなんて、ソーファニー、おかしいでしょ?
清川 |彩子。
片桐 |どうしたのよ。望、そんなに真剣な顔しちゃって。
清川 |彩子は紐緒さんのことを良く知らないのかもしれないけど…。
片桐 |うん、まあ…。
清川 |紐緒さん、きっと本当に始末するつもりなんだと思うよ。
片桐 |アーユーキッディング!もう、そんな女子高生がいるわけないでしょ?
清川 |いるんだよ。
片桐 |あ、ウエイト、望、ちょっと待ってよぉ。
・またもや、近所の公園
古式 |(ぼー。)
如月 |あら、古式さん。こんにちわ。
虹野 |こんにちわぁ。
古式 |ま あ、 こ れ は こ れ は 如 月 さ ん に 虹 野 さ ん で は
|ご ざ い ま せ ん か
虹野 |今日は朝日奈さんといっしょじゃないの?
古式 |実 は で す ね……。
如月 |まあ、紐緒さんが小波さんを?
虹野 |それを朝日奈さんが追い掛けていった?
古式 |は い 、私 は 安 全 な と こ ろ に い る よ う に 言 わ れ
|た の で す が、や は り 心 配 で す の で…。
如月 |探しに行きたいんですか?
古式 |は い、で す が ど こ を 探 し た ら 良 い の か か い も く
|見 当 が……。
如月 |沙希ちゃん。
虹野 |うん。古式さん、私たちもいっしょに探すわ。
古式 |ま あ、そ れ は あ り が と う ご ざ い ま す。
虹野 |古式さん、二人はどっちへ行ったの?
古式 |は い、こ ち ら の 方 へ…。
如月 |沙希ちゃん、古式さん。急ぎましょう。
・廃工場
小波 |ああっ、しまった。ここは……。
紐緒 |袋小路に入るとはいよいよ覚悟を決めたのね。
小波 |覚悟なんかできてないよぉ。ねえ。何か恨まれるようなことを俺が
|した?したんだったら謝るからさ……。
紐緒 |……往生際が悪いわよ。
伊集院 |待ちたまえ。
小波 |ああっ、伊集院。
紐緒 |あなた、邪魔をするつもり。
伊集院 |悪いがそうさせてもらう。
|ずずーん
小波 |わー、またロボットが…。;_;
伊集院 |真・伊集院ロボ!
紐緒 |おもしろいじゃない。
伊集院 |さあ、小波君。今のうちに逃げるんだ。
小波 |サンキュー。恩にきるよ、伊集院。
伊集院 |いいから、早く。
紐緒 |待ちなさい。
伊集院 |おっと、君の相手をするのはこの僕だ。
|たたたたっ
紐緒 |ふん、見たところそのロボット、まだ未完成のようね。そんなロボッ
|トで私の真・世界征服ロボに勝てると思っているの?
伊集院 |一目で見抜くとはさすがだね。だが艤装が完了していないとはいえ、
|この真・伊集院ロボはそう簡単に倒すことはできんよ。
紐緒 |そうね。10分というところかしら。
伊集院 |それで充分だ。それだけあれば小波は遠くに逃げられる。
紐緒 |伊集院君?
伊集院 |さあ、そろそろはじめようじゃないか。
|それともこの僕の時間かせぎにもう少し付き合ってくれるのかい?
紐緒 |伊集院君、あなた、本気なの?
・別のとある道ばた
|たったったったっ
優美 |きゃっ。
館林 |あっ。
|ごっつーん
優美 |いったーい。
館林 |ごっ、ごめんなさい。私急いでいたから…。
優美 |えー、ひどーい。あれ?もういない。ほんにあなたはヘのような…。
好雄 |こらぁ、それが女子高生が道ばたで叫ぶ言葉か!
優美 |あっ、お兄ちゃん。
好雄 |おっと、こんなところで油を売っている暇はなかった。
|小波!今行くぞ。
優美 |え?先輩?ちょっと待ってお兄ちゃん。
好雄 |うおっ。優美、止めろ、お前、首を締めてるぞ!
優美 |ねぇ、ねぇ、お兄ちゃん。先輩、どうかしたの?
好雄 |紐緒さんに狙われているらしいんだ。
優美 |ええ?紐緒さんって、学園のマッドサイエンティストで右目は実は
|お父さんという噂のあの紐緒結奈さん?
好雄 |ちょっと違うような気もするが、まあその紐緒さんだ。
優美 |だとすると先輩の貞操の危機!
好雄 |おまえ、それが女子高生が道ばたで叫ぶ言葉か!
|それに狙われているのは貞操じゃなくて命だ!
優美 |うそでしょ?
好雄 |いや、俺もうそだとは思うんだけど、とにかく嘘か本当かを自分の目
|で確かめようかと…。
優美 |じゃ、じゃぁ。優美も行く!
好雄 |えー?ま、しかたがないか。よし、ついてこい。
優美 |うん!
・再び、駅前商店街
朝日奈 |いた?
清川 |いや、でも、どうもあっちの方に逃げたらしいんだ。
片桐 |望ぃぃ!
清川 |彩子!見つけたの?
片桐 |ソーリー、まだなの。でもね。金持ちそうで気障な男がやっぱり小波君
|らしき人を探していてこっちの方へ追い掛けていったって。
朝日奈 |え?ちょ、ちょっと、ねぇ清川さんはどっちだって聞いたの?
清川 |こっちだよ。
朝日奈 |片桐さんは?
片桐 |ジスウエイ、こっちよ。
朝日奈 |もー、全然逆方向じゃない。さいってー。
・同じく、駅前商店街
魅羅 |あら?あそこにいるのは?
会員一号|あっ、あれは水泳部の清川さん、それと…。
会員二号|片桐さんと朝日奈さんです。
魅羅 |あなた、ずいぶん詳しいわね。
会員二号|すみません。あの二人はクラスメートなんです。
魅羅 |ま、いいわ。それにしてもあの三人何を騒いでいるのかしら?
会員三号|聞いてきましょう。
魅羅 |そう?お願いするわ。
会員三号|聞いてきました。
魅羅 |え?小波君が紐緒さんに?
会員一号|小波って、鏡さんにぶつかったあいつだろ?
会員二号|紐緒さんって、学園のマッドサイエンティストで右目は実はお父さ
|んという噂の……。
会員三号|まあ、小波ってやつはあっちこっちの女の子に粉かけているって噂
|だしバチがあたったんだな。
会員二号|まったくだ。ははははは。
魅羅 |探しなさい。
会員一号|はい?
魅羅 |探しなさい。
会員三号|誰をですか?
魅羅 |紐緒さんと小波君よ!
会員二号|え?でもなぜ?
魅羅 |いいから、探しなさい!
会員一同|はいっ!
・学校の近くの道
小波 |はぁはぁ。
詩織 |きゃっ。
小波 |ごっ、ごめんなさい。
詩織 |なんだ、ぷれすてじゃない。もうびっくりしたぁ。
美樹原 |小波君?
詩織 |どうしたのそんなに慌てちゃって?
小波 |ごっ、ごめん。今、本当に急いでいるから。
美樹原 |え?あっ。
詩織 |どうしたんだろう。ぷれすてあんなに慌てて…。
美樹原 |あの、詩織ちゃん?
詩織 |なあに?メグ。
美樹原 |あのね、詩織ちゃんに前から聞こうと思っていたんだけど…。
詩織 |なあに?どうしたのよ、メグ。
紐緒 |ちょっとあなたたち、今こっちに小波君が来なかった?
美樹原 |紐緒さん?
詩織 |ぷれすてなら今、学校の方へ行ったわよ。
紐緒 |そう。ありがとう。
美樹原 |あの、紐緒さん。あの……。
紐緒 |なによ。
美樹原 |私、前から気になっていたんですけど…。紐緒さん、あの……。
紐緒 |何よ。はっきり言いなさいよ。
美樹原 |……。
詩織 |ふーん、はっきりしていないのは誰なんだか。
紐緒 |あなた、何か私に言いたいことがあるようね。
詩織 |本当は分かっているんでしょ?あなたも、それにメグ、あなたもよ。
美樹原 |……。
紐緒 |……どういうこと?
詩織 |勇気がないのはあなたたちだけじゃないのよ。私も、みんなも精一
|杯の勇気を振り絞っているのよ。それなのにあなたたちは卑怯よ。
紐緒 |……。
美樹原 |……詩織ちゃん。
詩織 |……泣いてるの?メグ。ごめんね。言い過ぎたわ。
美樹原 |ううん。勇気がないのは本当のことだから…。
紐緒 |……。
詩織 |あなたはどうなの紐緒さん。
紐緒 |……。
詩織 |待って紐緒さん。逃げちゃだめよ。
紐緒 |私は逃げないわ。全てははっきりしているのよ。
詩織 |あっ、紐緒さん……。行っちゃった。
美樹原 |詩織ちゃん…。
詩織 |メグ、本当にごめんね。
美樹原 |ううん。いいの私、きっと詩織ちゃんにそう言って欲しかったんだ
|と思うの。
詩織 |メグ……。
・みたび、駅前商店街
朝日奈 |どうだった?
清川 |こんどこそ確実。海の方に逃げたらしいよ。
片桐 |えぇー。私、遊園地って聞いたよ。
朝日奈 |うえー、私はスケート場って聞いたんだけど…。
清川 |うーん、困ったなぁ。
魅羅 |学校よ。
朝日奈 |え?
片桐 |ホワット!
清川 |鏡さん!?
魅羅 |学校よ。さあ、急ぐわよ。
朝日奈 |それってもしかしてぷれすてのこと?
魅羅 |他に誰がいるのよ。さあ、急ぐわよ。
清川 |……。
片桐 |どうしたの、望、さあ、レッツゴー
・きらめき中央公園
古式 |困 り ま し た ね ぇ。
虹野 |うーん、こっちに来たって聞いたんだけどなぁ。
如月 |どうもデマだったようですね。
古式 |あ ら、あ れ は?
虹野 |早乙女君と優美ちゃん?
如月 |どうしたのかしら?あんなに急いで…。
・同じくきらめき中央公園
好雄 |おっ、あそこにいるのは?
優美 |もう、お兄ちゃん。こんなときにまで女の子を気にしなくて良いの。
好雄 |そりゃそうだけど。あの三人もきっと小波を探してるんだよ。
優美 |えー、なんでそんなことわかるの?
好雄 |俺には分かるんだよ。さ、優美。行くぞ。
優美 |ブー。
好雄 |お前の気持も分かるけど、仕方ないだろ。
・しつこくきらめき中央公園
虹野 |あれ?早乙女君こっちに走ってくるよ。
古式 |ど う し た ん で し ょ う ね ぇ。
如月 |早乙女さん、どうしたんですか?そんなに慌てて。
好雄 |はぁはぁ、お前ら、小波を探してるんだろ?
優美 |……。
古式 |は い。ど う し て ご 存 じ な ん で す か?
虹野 |早乙女君、小波君がどこにいるのか知ってるの?
好雄 |いいからっ。小波は学校だ。ついてくるんだ。
優美 |先輩達は別についてこなくてもいいんだよ。優美とお兄ちゃんが行
|くんだから。
古式 |い え。そ う い う わ け に は ま い り ま せ ん。
如月 |……そうですね。私も頑張って遅れないようについていきます。
虹野 |……優美ちゃん、ごめんね。
優美 |優美は先輩に謝ってもらうようなことは何もありません。
好雄 |お前ら喧嘩するなら明日にしろよな。
|ほら、優美。お前も泣くんじゃない。
優美 |優美は泣いてなんかいないもん!
・駅前商店街から学校への道
|たったったったっ
片桐 |望!望!
清川 |……。
片桐 |望ったら、どうしたのよ。さっきから黙りこくっちゃって。
清川 |……鏡さんって奇麗だよね。
片桐 |??
清川 |……男の子にも人気があるしさ。
片桐 |どうしたのよ。望?
魅羅 |あなたたち、噂なら本人がいないところでしていただけないかしら…。
清川 |ご、ごめんなさい。
朝日奈 |あーん、もうこんなところで険悪にならないでよ。ただでさえ、走
|り疲れて息がきれてるのに…。
清川 |ごめん。ゆっくり走っているんだけど…。
魅羅 |ゆっくり?
清川 |もう少しスピードを落とそうか?
魅羅 |清川さん、あなたは先に行きなさい。
清川 |え?
魅羅 |先に行きなさい。
清川 |でも…。
片桐 |そうよ、望。足が速いんだから先に行きなさいよ。
清川 |……。
魅羅 |奇麗とか人気があるとか、そんなことを気にしていて自分のとりえ
|を忘れてしまったの?さあ、早く行きなさい。
清川 |ごめん。鏡さん、ありがとう。
朝日奈 |うひゃー、清川さん。すっごいスピード!
片桐 |サンキュー。 鏡さん。やっさしいのね。
魅羅 |……ふん、今日だけよ。
・学校の近くの道
|よろよろ
詩織 |あれ?伊集院君。
美樹原 |どうしたのかしら?あんなに汚れちゃって。
伊集院 |やあ、藤崎君、美樹原君も。すまないが今は取り込んでいるの
|で話なら後にしてくれたまえ。
詩織 |どうしたのよ、伊集院君。もしかして怪我をしてるんじゃないの?
伊集院 |触らないでくれたまえ。
美樹原 |で、でも…。
伊集院 |すまない。だが、僕のことは放っておいてくれたまえ。
詩織 |伊集院君?
伊集院 |……。
美樹原 |……。
伊集院 |……君たちも学校に急ぎたまえ。
詩織 |え?
伊集院 |紐緒君が小波を始末するそうだ。
美樹原 |小波君を!?
詩織 |な、なぜ?
伊集院 |絶対に止めなくては…。紐緒君のためにも、小波のためにも、そ
|して…。
詩織 |……伊集院君?
伊集院 |じゃあ、僕はお先に。その気があったら君たちも来たまえ。ただし、
|来るのならそれなりの危険の覚悟は必要だがね。
|よろよろ
詩織 |メ、メグ…。どうしよう。
美樹原 |……詩織ちゃん。……勇気よ。ねっ。
詩織 |そっ、そうね。さあ、メグ、伊集院君に肩を貸してあげるわよ。
美樹原 |それでこそ詩織ちゃんよ。
・学校
小波 |ああっ、ついに学校に来てしまった。
紐緒 |こんなところを死場所に選んだのね。
小波 |うわぁー、紐緒さん。いや、選んだんじゃなくてついここに足が…。
紐緒 |どちらでも結果は同じよ。さあ、死になさい。
小波 |いやだぁ。;_; ;_; ;_;
紐緒 |もう逃げ場はな……。そ、そこは…。
小波 |え?ここ?ここは……、これは……、伝説の木?
紐緒 |そんなところに逃げるなんて卑怯よ。こっちに来なさい。
小波 |そしたら殺されちゃ……??紐緒さん、ひょっとして泣いてるの?
紐緒 |泣いてなんかいないわ。さあ、こっちに来るのよ。
小波 |いやだぁ。
伊集院 |待ちたまえ。
詩織 |ぷれすて!
美樹原 |小波君!
小波 |伊集院!詩織!それに美樹原さん!
紐緒 |あなたたち、邪魔はさせないわ。
伊集院 |紐緒君、君は考え違いをしている。君が……。
清川 |ああっ、無事だったぁ。
小波 |清川さん!
清川 |今、みんなも来るから…。
紐緒 |みんな?
小波 |みんなって?
好雄 |おっ、まだ無事か!
優美 |よかったぁ。
古式 |は い。本 当 に…。
虹野 |小波君!
如月 |お願いです。紐緒さん、止めてください。
紐緒 |……。
小波 |好雄!助けに来てくれたのか?
好雄 |まあ、しかたなくな。
小波 |;_; ;_;
魅羅 |なんとか間に合ったわね。
朝日奈 |もう、チョーくたくた。
片桐 |ソータイアード、望みたいにはいかないわね。
小波 |どうしてみんなここに…。
伊集院 |もちろん、紐緒君を止めるためさ。
紐緒 |近づかないで!!
|みんな、いったいどういうつもりなの?みんなで私を馬鹿にしに来
|たの?
魅羅 |そうね。あなたの自信を失った姿を笑いに来たのよ。
詩織 |紐緒さん、冷静になって考えてみて、あなた、それが本当に望んで
|いることなの?
紐緒 |……。
清川 |紐緒さん!
古式 |あ の ー。
朝日奈 |いいから、ゆかりは黙ってて。
|あのさー、紐緒さん。なんだかこういう紐緒さんってかっこ悪いよ。
|紐緒さんってもっとこう…なんていうかさぁ…。
紐緒 |……。
片桐 |もう、それじゃ。何を言いたいんだかさっぱりわからないわよ。
好雄 |おい、優美。お前も言いたいことがあるんだったら言っちまえ。
優美 |……いい、今、口をきくと優美……。
好雄 |……そうか。
|おい、紐緒さん。小波のことはどうでもいいけど…。
小波 |好雄ぉぉぉぉぉ。;_; ;_; ;_; ;_;
好雄 |優美を泣かせるようなことはこの早乙女好雄が許さん!
紐緒 |……。
如月 |紐緒さん、私、いつも紐緒さんのことを羨ましいと思ってたんです。
虹野 |未緒ちゃん?
如月 |いつも楽しそうで、自信たっぷりで、自由に行動していて…。
小波 |それって、単にわがままなだけなんじゃない?
伊集院 |小波君!君はもう少し自分の立場というものを考えて喋ってくれたまえ。
小波 |ああっ、そうだったぁぁぁ。;_; ;_;
如月 |でも、今日の紐緒さんは……。
虹野 |未緒ちゃん、泣かないで…。
紐緒 |……。
伊集院 |どうしても小波を始末すると言うならその前に僕を始末したまえ。
小波 |い、伊集院。おまえって実はいい奴だったんだな。
詩織 |ぷれすて…。
小波 |なに?
詩織 |じ・ぶ・ん・の・た・ち・ば。
小波 |ああっ、そうだったぁぁぁぁ。;_;
紐緒 |……どうやら、私が考え違いをしていたようね。
小波 |!?
紐緒 |伊集院君にも本当に悪いことをしたわ。
伊集院 |……真・伊集院ロボのテストに協力してもらって感謝している。
紐緒 |伊集院君……。
伊集院 |全ては明日だ。そうだろう?みんな。
優美 |優美、負けないよ。
古式 |あ の ー、ど う い う こ と な ん で し ょ う か?
朝日奈 |あー、もう。ゆかりは分からなくてもいいの。一晩ゆっくり考えて
|いらっしゃい。
古式 |は ぁ、そ う で す か…。
詩織 |紐緒さん、あなたも…。
朝日奈 |そだね。紐緒さんもゆーっくり休んだ方がいいと思うよ。
紐緒 |でも……。
伊集院 |後の始末は僕にまかせて君はゆっくり休みたまえ。
魅羅 |そうね。ここにいてもじゃまになるだけよ。
片桐 |もう、鏡さんって素直じゃないんだから。
好雄 |似た者同士だからな。
魅羅 |なんですってぇ。
好雄 |おっとつい本音が…。
|わはははは
紐緒 |……そうね。悪いけど、帰せてもらうわ。
如月 |紐緒さん、きっと考えはまとまりますから…。
虹野 |根性あるのみよっ。
|すたすた
小波 |本当に助かったのか?
伊集院 |ま、君もとことん悪運が強いということだね。
小波 |いやぁ、しかし意外だったなぁ。
伊集院 |え?
小波 |みんながあんなに真剣だなんて…。
一同 |(ドキッ)
小波 |伝説の木、俺なんてさっきまですっかり忘れていたよ。
一同 |(むかむかぁぁぁぁ。-_-#)
伊集院 |まあ、君がそういう男だと言うことは分かってはいたんだがね。
小波 |(どかっ)ぐおっ。
詩織 |本当にそういうところは昔からかわらないんだから。
小波 |(べきっ)ぐえっ
如月 |……ひどいです。
小波 |(ぐしゃっ)ぐひっ。
美樹原 |……ひどすぎます。
小波 |(ばきっ)でぇっ。
優美 |先輩のバカ!
小波 |(どこっ)だぁっ。
清川 |このニブチン
小波 |(どこっ)げぇっ。
朝日奈 |チョベリにぶ!!!
小波 |(ぼこっ)だはっ。
片桐 |アンビリーバブル!
小波 |(ずんっ)うおっ。
魅羅 |信じられないわ。
小波 |(ばこっ)げひっ。
虹野 |あなたには根性が足りないわ!
小波 |(ずんっ)うおっ。
古式 |そ れ で は 私 も…。
小波 |(ばしっ)ぐわっ。
|たたたたたっ。
館林 |コアラパーンチ。
小波 |(ぽこーん)げへっ。
好雄 |なにぃ。単なる通行人まで…。んじゃ、俺も…。
|どかばきぐじゃぐじゃ
小波 |そこまでするかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
・小波の部屋
小波 |うーん、はっ、寝ていたのか……
|すると今のは夢?うーんリアルな夢だったなぁ。
|いてっ。うっ、全身を貫くこの痛みは…?
|鏡、鏡…。
|ごそごそ
小波 |ああっ、やっぱりあれは夢じゃなかったのか。;_;
|ううっ、俺が一体何をしたというんだぁ。;_; ;_;
|明日が恐いよぉぉぉぉぉぉ。;_; ;_; ;_;