「1997.09.07」戦いの果てにあるものは?〜紐緒結奈〜

[No.0000000013]柴田

・学校の廊下にて

紐緒  |駒人君。
小波  |やあ、紐緒さん。どうしたの?
紐緒  |今度の日曜、美術館に行くわよ。
小波  |えー、今度の日曜?
紐緒  |何か用があるの?
好雄  |よお、小波。何を話しているんだ。デートの約束か?
紐緒  |……。
好雄  |えっと、あの、その、なんだ…。
小波  |好雄、今度の日曜なんだけど…。
好雄  |小波、悪いな。急に用ができてさ、映画、その次の日曜にしてくれな
    |いか?
小波  |おいおい、お前から誘っておいてそれはないだろう。
好雄  |悪いな。そうだ、紐緒さん、今度の日曜俺のかわりに小波を遊んでやっ
    |てくれないか?
小波  |おいおい。
紐緒  |……。
好雄  |なっ、頼むよ。
紐緒  |しかたないわね。
小波  |おいおいおいおい?
紐緒  |いやなの?
好雄  |いやなわけないだろ。なっ、小波。
小波  |え、うん。もちろん。
紐緒  |じゃあ、美術館前に……。遅れないでくるのよ。
好雄  |遅れるわけないじゃないか。
小波  |おいおい、お前が答えてどうするんだ。
紐緒  |それじゃ、さよなら。
    |すたすた
小波  |なんだよ。好雄、お前ちょっと我儘だぞ。
好雄  |お前、今、何も感じなかったのか?
小波  |何かって地震か?
好雄  |お前、バカだバカだと思っていたけど本当にバカだったんだな。
小波  |なっ、なんだよ。お前に言われたくないぞ。
好雄  |俺は確かに成績は悪いけどお前ほど鈍くないからな。
小波  |鈍い?いったい何のことだ?
好雄  |なあ、マジな話、お前紐緒さんに改造してもらった方がいいんじゃな
    |いか?
小波  |おい、いったい何のことだよ。
好雄  |じっくり考えるんだな「にぶお」君。
    |すたすた
好雄  |好雄の奴、何を怒ってるんだ?

・美術館前

小波  |紐緒さん、おはよう。相変わらず時間に正確だね。
紐緒  |私には遅刻したときに使うようなセリフはないのよ。
小波  |うーん、俺も心掛けるようにしなくちゃ。
紐緒  |さぁ、入るわよ。
小波  |そうだね。中に入ろうか。
    |どかっ
子分A |俺様にぶつかっておきながら一言もナシとはなぁ。
紐緒  |あなたの方からぶつかってきたんじゃない。
小波  |ひっ、紐緒さん。
子分B |なぁにぃ?
紐緒  |一言謝って欲しいのはこちらの方よ。
小波  |ひっ、紐緒さん。やめなってば。
子分A |男連れだからってかっこつけやがって。ツラ貸しな!
紐緒  |残念ね。私はあなたに貸すようなツラなんてものは持ち合わせてい
    |ないわ。
小波  |ひっ、紐緒さんってば。
子分C |このアマぁ。
紐緒  |これでもくらいなさい!
    |ごわーん
子分A |うわー。
子分B |ぐへぇー。
子分C |やられたぁぁ。
紐緒  |さあ、今度こそ中に入るわよ。
小波  |ひっ、紐緒さん。今のはいったい…。
??? |ちょっと待てぇーい!
小波  |え?
番長  |俺様は、この世界の番長だ!子分達が随分と世話になったようだな。
    |だが、茶番はここまでだ!礼をさせてもらうぞ。
    |これでもくらえぇーい!超眼力!
    |きらーん
小波  |うわー。
紐緒  |いったい何のつもりよ。
小波  |え?あれ?なんともない…。
番長  |俺様は超眼力が効かんとは…。
紐緒  |ただ睨むだけのことになんの効果を期待していたの?
番長  |貴様、只者ではないな。
紐緒  |今頃気が付いたの。この美少女天才科学者、紐緒結奈に逆らう者の末
    |路を身を持って体験することね。
番長  |おもしろい。俺様も真の力を見せてくれる。
    |きょろきょろ
番長  |ここは俺たちの戦いには狭すぎる。公園までツラぁ貸しな。
紐緒  |私はあなたに貸すようなツラなんてものは持ち合わせていないけど、
    |まあいいでしょう。
小波  |ひっ、紐緒さん。

・公園

番長  |ここなら良いようだな。
紐緒  |そうね。ここなら私も遠慮無く実力を発揮できるわ。
小波  |実力って……。え?紐緒さんその棒はなに?
    |きらーん
小波  |うわー、紐緒さんが変身した!
番長  |きっ貴様!
紐緒  |さあ、準備はできたわよ。いつでもいらっしゃい。
小波  |紐緒さん、その格好はひょっとして魔導師?
紐緒  |駒人君、あなた、さっきからうるさいわよ。
小波  |で、でも紐緒さんが突然変身するから…。
紐緒  |あら?あなたも変身したいの?だったらポケットに入っている潜在能
    |力具現化装置を使うのよ。
小波  |え?ポケット?あれ?いつのまにこんなものが…。
紐緒  |そのスイッチを押すのよ。
小波  |ポチっとな。ああっ、ついつられて押してしまったぁ。;_;
    |きらーん
紐緒  |へー、勇者に変身するなんて、あなた意外にやるじゃない。
小波  |うわぁー。本当に変身したぁ。;_;
番長  |くっ、卑怯者め。
紐緒  |喧嘩に卑怯もなにもないわ。
番長  |男の意地にかけて、負ける訳にはいかねぇ!
小波  |うわー、番長も変身……ってガクランを脱いだだけか…。
番長  |うおぉー、マッハメガトンパーンチ!
    |がきーん
小波  |ひえー、あれ?痛くない。
番長  |きっ、貴様…。
紐緒  |ふふふっ、番長、あなたもここまでのようね。
    |これでもくらいなさい!
    |ぐわーん。
番長  |ひでぶっ。
小波  |ひやー。
番長  |番長のこの俺様が……こんな所で負ける訳にはいかん!
紐緒  |そのやせがまん、どこまで続くかしら。
    |これでもくらいなさい!
    |ぐわーん。
番長  |あべしっ。
小波  |ずえ。
紐緒  |-_-#
小波  |^_^;
番長  |ううっ。
紐緒  |-_-# -_-# -_-# -_-#
小波  |^_^; ^_^; _o_ _o_
番長  |ぐっ、ぐわぁぁぁぁ。
小波  |な、何事?
紐緒  |……これでもくらいなさいで瀕死だった番長には今のギャグはちょっ
    |と耐えきれなかったようね。
小波  |私が悪うございましたぁ。;_; ;_;
番長  |ふっ、恐れ入ったぜっ。俺様を倒せるやつが、この世にいたとはな。
紐緒  |番長…。
番長  |いや、その名はもう俺にはふさわしくない。これからは、お前が番長
    |だ。
小波  |ええ?あれ?でも名前が変わっていない…。
元・番長|あばよ、彼氏と仲良くなっ!
    |だだだだっ
科学番長|さすが番長、潔いわね。
小波  |ああっ、紐緒さんの名前が!?すると紐緒さんが新しい番長?
科学番長|さあ、片がついたわね。美術館に戻るわよ。
小波  |いや、でも、紐緒さん、時間が…。
科学番長|え?もうこんな時間なの。
小波  |美術館、もう閉っちゃうね。
科学番長|……。
小波  |残念だったね。美術展見たかったんでしょ?
科学番長|……ごめんなさい。
小波  |
科学番長|私があんな男たちを相手にしなければ…。
小波  |紐緒さんのせいじゃないよ。あいつらが悪いんだから…。
科学番長|でも……。
小波  |ねぇ、紐緒さん。もう帰らなきゃだめ?
科学番長|え?
小波  |せっかくのデートなのに何もしないで帰るんじゃつまらないでしょ?
    |プラネタリウムならまだ開いてるし…。
科学番長|デート…。
小波  |あ、ごめん。紐緒さん、俺に付き合ってくれただけだったよね。
科学番長|そんなこと……ないわ。
小波  |ね、プラネタリウムいくでしょ?
科学番長|……行くわ。
小波  |よーし、じゃあ紐緒さん。こっちだから…。
科学番長|……。
小波  |え?
科学番長|……ありがとう。
小波  |なにが?
科学番長|なっ、なんでもないわ。
小波  |??
科学番長|のんびりしているとプラネタリウムも閉ってしまうわ。さっさと行
    |きましょう。
小波  |そ、そうだね。