「1996.08.11」ハプニングinサマー(第2話)

[No.0000000001]山本
  |8月11日朝無人島
小波|ここが伊集院院の島か〜。
伊集院|そうだ。ここが「伊集院院島」だよ。
  |どうだね、感想は?
小波|どうでもいいけどここって国内なんだろうな?
伊集院|当然国内だ。
  |心配にはおよばん。
  |ま、これだけの美しさだ。
  |きみが海外と勘違いするのも当然かもしれんがね。
  |は〜っはっはっはっはっはっはっは。
小波|(また始まったよ…)
好雄|ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…。
  |こ、小波〜。
小波|おぉ、好雄、がんばってるな。
好雄|お、お前もちょっとは手伝おうとか思わないのか?
小波|自業自得だ。
好雄|んなこと言ったって、覗きの主犯が俺だってばれてから
  |ず〜っと船内の雑用をやってたじゃないか。
  |いい加減に勘弁してくれよ…。
小波|ま、ちょっとだけ手伝ってやるか。
好雄|小波〜。
  |やっぱ持つべきものは友達だなぁ…っておい!
小波|なんだよ?
好雄|よりによって浮輪1こってことは無いんじゃないか?
小波|好雄…。
好雄|な、なんだよ、急に真剣な顔になって…。
小波|こういうものは…、気持ちだ。
好雄|んなわけあるか〜!!!
  |8月11日午前プライベートビーチ
詩織|うわ〜、きれい〜。
美樹|ホント、お話に出てくるような海ですね。
片桐|オーイッツソービューティホゥ。
  |なんてきれいなんでしょう!
清川|彩子、あんた水嫌いじゃなかったっけ?
片桐|見てる分には平気よ。
  |あぁ、キャンバスを持ってくれば良かったなぁ。
如月|ちょっと日差しは強いですけど、とてもきれいな海ですね。
虹野|な、なんか如月さん、顔色悪くない?
如月|す、すいません…。
  |余り強い日差しにあたってると、貧血を起こしちゃうんです。
小波|だ、大丈夫なの、如月さん?
如月|あ、小波さん…。
  |わ、私なら平気ですから…。
小波|とりあえず、木陰で休んでた方がいいよ。
如月|ありがとうございます。
  |でも、一人でそんなところにいるのもなんですし…。
小波|大丈夫。
  |すぐに好雄にパラソルを立てさせるから、そしたらこっちにおいでよ。
如月|そ、そうですね。
  |じゃあそうします…。
  |あっ………。
小波|あ、如月さん!
  |しっかりして。
  |このまま木陰までつれて行って上げるよ。
如月|すいません、ご迷惑ばかり…。
小波|なに言ってんの、これぐらい。
小波|ふぅ、とりあえず如月さんは大丈夫そうだな………、って
  |優美ちゃん、なんで寝転がってるの?
優美|優美、貧血なんです。
小波|十分以上に健康そうに見えるけど?
優美|優美も抱っこして木陰につれて行って下さい。
小波|だから元気そうに見えるけど?
優美|早くつれて行ってくれないと、優美死んじゃう!
小波|わ、分かった分かった。
  |(まったく、わがままだなぁ)
朝日奈|いゃっほう〜、海だ〜!!
古式|こ れ は こ れ は き れ い な 海 で す ね ぇ。
朝日奈|う〜ん、こんなきれいな海に私たちしかいないなんて、
  |チョベリグって感じ〜。
古式|貸 し 切 り 見 た い で す ね ぇ。
朝日奈|ほら、ゆかり。
  |のんびりしてないで早く泳ごうよ!
古式|で す が、準 備 運 動 を き ち ん と し ま せ ん と…。
朝日奈|あんた、このあいだプールに行ったときもそう言って
  |帰るまでずっと準備運動してたじゃない。
  |ほら、もうそんなのいいから、急いで急いで。
古式|そ の よ う に あ わ て な く て も 海 は 逃 げ な い と
  |思 う の で す が…。
朝日奈|海は逃げなくても時間はすぎて行くの!
  |さぁ、レッツゴー!
片桐|ウエイト!ちょっと待って。
清川|どうしたの?
片桐|ちゃんと日焼け止めは塗った?
清川|ううん、塗ってない。
片桐|ダメよ、それじゃあ。
  |ここは室内プールじゃ無いんだから、夜眠れなくなるわよ?
清川|そっかぁ…。
  |どうしようかな………、そうだ!
片桐|望!?どこ行くの?
清川|ちょっとからかってくる。
片桐|???
魅羅|小波君。
小波|あ、鏡さん!?
  |(な、なんて水着だ!?)
  |(ほとんど紐じゃないか…)
魅羅|何を驚いているのかしら?
小波|い、いや、べ、別に、驚いてなんか…。
魅羅|…まぁいいわ。
  |それより日焼け止めを塗って頂けないかしら?
小波|えっ?
  |お、俺が!?
魅羅|とりあえず他には誰もいないように見えるわね。
小波|(鏡さんの体に堂々と触れるとは…)
  |(なんてラッキーなんだ)
  |よ、喜んで塗らせてもらうよ。
魅羅|じゃあ、背中からお願い。
小波|(おいおい、「から」ってなんだよ…)
清川|おーい、小波〜!
小波|えっ?
清川|私にサンオイル…、あっ!
小波|(げっ、清川さん!?)
清川|………。
魅羅|あ〜ら、ごめんなさい。
  |私が先にお願いしちゃったわ。
清川|………。
小波|(な、なんか清川さん怒ってるみたいだな…)
  |あ、あの、すぐ終わるから、そしたら…。
魅羅|………すぐ終わる、ですって?
小波|えっ、だ、だってもう背中はほとんど…。
魅羅|この後は「前」も塗ってもらおうかと思ったのに残念だわ…。
小波|(この状態で前向いたら丸見えじゃないか!)
清川|………じゃあ私は前から塗ってもらおうかな…。
小波|えっ、き、清川さん、ちょ、ちょっと…。
  |(うわっ、マジに脱ぎ始めたぞ!?)
  |ちょっと待ってよ、そんなの塗れないよ。
清川|鏡さんは塗れても私は塗れないって言うの?
  |こっちを向いてよ。
小波|(向ける訳無いじゃないか!)
  |いや、誰のでもダメだって。
  |背中なら塗るから、とりあえず水着を着てよ。
魅羅|あら、どうしてダメなのかしら?
小波|うわっ!
  |(立ち上がったら丸見えだってば!)
  |あ、当たり前じゃないか、そんなの。
魅羅|どうして目をつぶるの?
小波|(当たり前だろ!)
  |いや、あの、まずいって、こういうのは…。
清川|ほら、塗って。
魅羅|早く塗って下さらない?
小波|(あぁ、ダメだ、頭に血が上って…)
  |(ぼ〜っとしてなにも考えられなく………)
  |ばたっ
清川|こ、小波!?
魅羅|小波君!?
好雄|ぜ〜、ぜ〜、ぜ〜。
  |やっと着いたぞ…。
  |って、みんなもう泳いでるじゃないか!
  |くっそ〜、なんて奴らだ。
館林|あ、早乙女君。
好雄|館林?
  |どうしたんだ、こんな所で。
館林|うん、ちょっと…。
好雄|………。
  |ひょっとしてまた小波がなにかやったのか?
館林|ううん、小波君はなにも…。
好雄|「小波君は」なにもしなかったんなら、誰が何をやったんだ?
館林|いいの、何にも無かったから。
好雄|う〜む。
  |(訳がわからん)
館林|私ももうちょっと勇気を持たなきゃね。
  |じゃあ。
  |たったったった…
好雄|何だったんだ、一体…。
  |お、そうだそうだ、さっさとパラソルを立てちまわないと、
  |また雑用増やされちまう…。
  |(俺って損な役だなぁ…)
紐緒|話は聞かせてもらったわ。
館林|きゃっ!
紐緒|人の顔を見て驚くのは失礼よ。
館林|ご、ごめんなさい。
  |でも急に出てくるから。
紐緒|あら、ちゃんと現れる前にテーマソングが流れたはずよ。
館林|えっ?
紐緒|ほら、聞こえないかしら?
  |ちゃちゃちゃちゃ〜っちゃ
館林|ほ、ホントだ…。
  |でもどこから…。
紐緒|気にしないでいいわ。
  |そういう作りになっているのよ。
館林|そ、そうなの?
紐緒|くだらない話はともかく。
  |あなた、勇気ある人間になりたいんですって?
館林|………。
紐緒|なりたいんですって?
館林|………。
紐緒|なりたくないの?
館林|………なりたいって言ったらどうなるんですか?
紐緒|簡単よ。
  |私に全てを任せれば、1日で誰にも負けない勇気の持ち主に
  |なれるわ。
館林|や、やっぱり…。
  |あの、私、人体改造とかされるのって慣れてないんで…。
紐緒|そんなものに慣れてる人がいるはずはないでしょう。
館林|あぁ、理知的なツッコミ…。
紐緒|さぁ、最初は誰でも恐いものよ。
  |でも終わってしまえば、あなたは私に感謝する事になるわ。
館林|でも「人体改造」を否定はしないんですね?
紐緒|……さぁ、私に全てを任せるのよ。
館林|やっぱり否定しないんですね?
紐緒|さぁ。
館林|………失礼しま〜す!!
  |ぴゅ〜
紐緒|残念だわ…。
  |せっかくの機会を逃してしまうなんて。
美樹|ほら、見て詩織ちゃん。
  |すごいお魚がいっぱい!
詩織|本当…。
  |とってもきれいね。
虹野|あれ、捕まえれないかな?
詩織|どうするの?
虹野|捕まえたら、あれでお料理ができるなぁって。
詩織|ふ〜ん…。
美樹|沙希さん、お魚さばけるんですか?
虹野|もちろん。
  |料理は一通りなんでもこなせるわ。
詩織|あら、私だって魚ぐらい…。
美樹|詩織ちゃん、お魚さばけたっけ?
詩織|や、やればできるわよ………多分。
虹野|やっぱり料理は愛情と根性よね。
伊集院|は〜っはっはっはっは。
  |楽しんでもらっているようだね。
虹野|伊集院院君。
  |うん、すっごく楽しいよ。
美樹|あの、こんなきれいな海につれてきてもらって、ありがとうございます。
伊集院|な〜に、君達のような美しい女性には美しい海が似合う。
  |庶民の海水浴場では不釣り合いというものだろう。
  |は〜っはっはっはっはっはっは。
詩織|ねぇ、駒人君はどこに行ったか知らない?
伊集院|さぁ、海に着いて解散してから見かけた覚えが無いな。
詩織|そう…。
伊集院|そんな事よりも、君達にちょっとした
虹野|「ゲイ」って?
  |まさか………外井さん?
伊集院|ちが〜う!!
  |まぁ見ていたまえ。
  |ひゅ〜ひゅっ!
美樹|
伊集院|違うと言っているだろう。
  |もうちょっと待ちたまえ。
  |ざざざざざざざざざざざっ!!
詩織|えっ?
  |あ、あれって………。
虹野|さ、サメ〜!?
美樹|きゃー!!
好雄|おぉ、小波がいない。
  |俺の見せ場だ!!
  |みんな〜、今助けるぞ〜!!
  |食らえ、好雄キ〜ック!!
  |どがっ!!
好雄|あれ〜〜〜〜〜!!
伊集院|あわてる事はない。
  |我が伊集院院家が誇る、玉まわしザメだ。
  |さぁ、存分にまわしてみせるがいい!
好雄|どわぁ〜!
  |玉のかわりに俺をまわすのは勘弁してくれ〜〜〜!!!
  |8月11日夕方プライベートビーチ
小波|結局、俺が目覚めたのは夕方になってからだった。
  |清川さんと鏡さんはずっと俺を見ていてくれたらしく、
  |全身日に焼けて真っ赤になっていた。
  |ちゃんと塗って上げればよかったかな…なんてね。
  |でもなんで「どっちかが誰かを呼びに行く」って手段を
  |選ばなかったのだろうか?
  |いや、それよりも二人がかりでなら俺を運ぶ事だって…。
  |目が覚めたとき聞こうかと思ったんだが、二人の間に
  |妙な緊迫感が流れてたんで、聞けなかったんだよな。
  |そういえば好雄は「重度の船酔」だとかで、木陰で死んでいる。
  |今ごろ酔うなんて変な奴だ。
  |寝言で「サメ」と聞こえるのは気のせいだろうか?
  |好雄が起きてくれなければ、俺がこの荷物を船まで持って帰る
  |羽目になるんだがなぁ…。