「1996.01.12」デートすることになった訳〜鏡魅羅〜

[No.0000000001]山本

・1月8日、朝、学校正門

小波  |あ〜あ、やだなぁ。
    |いきなり鏡さん親衛隊に取り囲まれたりしたらどうしよう…。
    |…、よし、やっぱり先手取って謝るしかないな。
    |あ、あの人混みは鏡さんだな…。
    |(あの人のいる場所は分かりやすいなぁ)
    |たったったった…
    |お〜い、鏡さん!
魅羅  |
    |小波君?
親衛隊 |(おい、鏡さんが名前覚えてるぞ?)
    |(あいつ、何者なんだ?)
小波  |はぁはぁはぁ、いや〜、相変わらず凄い人混みだね。
魅羅  |私に何の用かしら?
小波  |いや、冬休みに怒らせちゃったから、謝っておこうと思って。
魅羅  |…、そう。
    |別に気にしてはいないわよ。
小波  |それなら、いいけど。
    |…とりあえず、ゴメン!
    |それだけ言いたかったんだ。
    |じゃあ!
    |たったったった…
魅羅  |……。
親衛隊 |(あいつ、鏡さんに一方的に話しかけていっちまうなんて…)
    |(美的感覚マヒしてるのか?)
    |(どっちにしろ、鏡さんに失礼なことをするなんて、ゆるせん!)
    |(後で袋だな…)
魅羅  |皆さん、移動するわよ!
親衛隊 |はい、鏡さん!
    |(おい、あいつはやめとけ)
    |(なんでだよ?)
    |(知らんのか?あいつは「あの」紐緒結奈のお気に入りらしいぞ)
    |(げっ、「あの」紐緒結奈の!?)
    |(そういうことだ。モルモットにされたくなければやめとけ)
    |(そ、そうだな…)
魅羅  |……。

・1月12日、昼休み、学校中庭

好雄  |お前って、度胸あるなぁ。
小波  |なんでだ?
好雄  |「鏡魅羅を怒らせた」ってことを、親衛隊のまん真ん中で暴露したんだろ。
小波  |あ、そう言うことになるのか。
    |でも、あれから親衛隊に絡まれてもいないし、鏡さんも「気にしてない」
    |って言ってたから、きっと大丈夫だよ。
好雄  |お前のその楽観主義は、俺にはマネできん。
小波  |ほっとけ。
魅羅  |小波君!
小波  |はい?
    |げっ!?
    |か、鏡さん…?
    |(鏡さんが何のようなんだ?)
    |(まさか、まだ怒ってるとか…)
魅羅  |ちょっと良いかしら?
小波  |は、はぁ。
好雄  |なんか、俺、お邪魔みたいだから退散するわ。
小波  |お、おい、好雄!
    |(お前、俺を見捨てる気か?)
好雄  |(お前の厄災に俺を巻き込むんじゃない!)
    |じゃあな!
小波  |(なんて友達がいの無いヤツだ…)
魅羅  |…、小波君。
小波  |は、はい!?
魅羅  |今度の日曜日はお暇かしら?
小波  |はぁ?
魅羅  |今度の日曜日に予定が入っているか聞いているのよ。
小波  |(確か水泳部の練習はさ来週だし、なんにも無かったよなぁ…)
    |えっと…、暇だと思いますが。
魅羅  |私をどこか遊びに連れていって欲しいのだけれど。
小波  |はぁ??
    |(どっかに連れて行け?)
    |(デートしろって事か???)
    |(なんで俺なんかに…)
魅羅  |小波君?
小波  |(でも、考えてみればチャンスかなぁ)
    |(こんな事でもなければ鏡さんとデートなんて…)
魅羅  |小波君!?
小波  |うわぁあ!は、はい!?
魅羅  |連れていってくれるのかしら?
小波  |は、はい。
    |連れて行かせていただきます。
魅羅  |そう。
    |まぁ、私の誘いを断る男なんて、いるわけは無いんだけど。
    |ほ〜っほっほっほっほっほ。
小波  |(これさえ無ければなぁ…)
    |(デート中にこれをやられると注目の的だな)
魅羅  |行き先はお任せするわ。
    |明日にでも誘いに来て頂戴。
小波  |わ、わかった。
魅羅  |じゃ、楽しみにしてるわ。
小波  |さて、どうするか…。
    |って、ちょっと待てよ…。
    |(明日誘いに来い?)
    |(あの親衛隊に囲まれて鏡さんをデートに誘えと言うのか!?)
    |冗談じゃない、殺されに行くようなもんだ…。
    |(どうする、どうする、どうする…)
    |そうだ、確か好雄が「電話番号も知ってる」って言ってたはずだ
    |今日の内に電話で誘ってしまえば、死なずにすむ!
    |お〜い、好雄〜、どこ行った〜!

・1月12日、夜、小波の家

小波  |よ〜し、じゃあ電話するか。
    |ぴぽぽぱぱぴぽ…
    |とぅるるるるるる…とぅるるるるるるる…
    |がちゃ
魅羅  |はい、鏡ですが。
小波  |あ、小波と言いますが、魅羅さんはいらっしゃいますか?
魅羅  |こ、小波君!?
小波  |あ、鏡さんだったんだ。
魅羅  |ど、どうして私の電話番号が…?
小波  |まぁ、友達にそう言うのに詳しいのがいてね。
    |(なんか、えらく驚いてるけど、電話はまずかったのか?)
    |ごめんね、急に電話したりして。
魅羅  |べ、別に構わないわよ。
    |所で、何のよう?
小波  |日曜日の件なんだけど。
魅羅  |……。
小波  |電話で誘ったらまずいかな?
魅羅  |…、何だ。
小波  |何だ、って何が?
魅羅  |何でもないわ。
    |で、どこに連れていってくれるのかしら?
小波  |遊園地にでも行かない?
魅羅  |ゆ、遊園地!?
小波  |そう、遊園地。
魅羅  |……。
小波  |遊園地、嫌いだった?
魅羅  |ふふふっ…。
    |いいわ、遊園地で。
小波  |そう、よかった。
    |じゃあ、
魅羅  |遊園地の前で朝10時に待ち合わせよ。
    |遅れないでね。
    |私、待つのは嫌いだから。
小波  |わ、分かった。
    |遊園地の入口に10時だね。
    |(家まで迎えに行こうかと思ったのに…)
魅羅  |じゃあ、日曜日に。
    |がちゃ
小波  |あ…。
    |なんか慌ててたなぁ。
    |(まずいときに電話しちゃったかな)
    |ま、いいや、日曜の服でも考えようっと。