「1995.10.05」きっかけ〜鏡魅羅〜

[No.0000000001]山本

・10月4日、学校、昼休み

魅羅  |(ふふふ、入学から半年で、私の名前も知れ渡ったわね…)
好雄  |なに〜!?
    |お前、「あの」鏡魅羅を知らないのか?
魅羅  |(わ、私を知らないですって!?)
小波  |知ってなきゃならないのか?
好雄  |あ、あのなぁ…。
    |親衛隊まである位の美人だぞ?
    |…お前もつまらない高校生活おくってるなぁ。
小波  |あのな、お前と一緒にするな!
    |俺は十分充実した生活をおくってるわい!
    |大体、「女の子の友達」にも不自由してない。
好雄  |で、彼女は居るのか?
小波  |ぐっ…。
    |い、良いんだよ、今は友達で。
好雄  |…つまらない高校生活おくってるなぁ。
小波  |うるさい!
    |俺に彼女が居ないのと、鏡魅羅って娘を知らないのと
    |どういう関係があるって言うんだ!?
好雄  |まぁまぁ、そう怒るな。
    |いや、彼女が居ないなら選択肢は多い方がいいだろ?
    |お前、元はそんなに悪くないし、最近はセンスも良くなってきたし。
    |それなら鏡さんの目にも留まるかも知れないぜ?
小波  |別にこれ以上増えなくてもいいよ。
好雄  |あ〜あ、もったいないもったいない。
魅羅  |(な、なんてこと…、私を知ってさえいない人間がまだいたなんて…)
親衛隊 |鏡さん、そろそろ午後の授業が始まりますが…。
魅羅  |あ、丁度いいわ。
    |あなた、彼の事知ってる?
親衛隊 |は?
    |あぁ、水泳部の小波と、同じクラスの早乙女だと思いますが。
魅羅  |どっちがどっちなの?
親衛隊 |あ、髪の赤い方が早乙女です。
魅羅  |そう、そうなの…。
    |(みてなさい、小波君…)
    |(あなたも私の虜にしてみせるわ)
    |10月5日、朝、校門前
魅羅  |(来たわね小波君)
    |(まずは「ハンカチ落とし」作戦よ)
    |ひらっ
小波  |あ。
魅羅  |(そうよ、拾うのよ)
    |(そして私のところに持ってきて、私の美しさに打ちのめされるのよ!)
    |だだだだだだだだっ
魅羅  |(えっ?)
親衛隊 |か、鏡さん、ハンカチが落ちました!
魅羅  |あ、ありがとう。
    |(こ、このうすら馬鹿!)
親衛隊 |当然のことです。
魅羅  |(まず親衛隊を何とかしないと、作戦もなにもあったもんじゃないわ)
    |10月5日、朝、休み時間
魅羅  |……ということで、今日は一日一人にして欲しいの。
    |分かって下さるかしら?
親衛隊 |はい、鏡さん。
    |では、解散!
魅羅  |ふぅ。
    |10月5日、昼休み
魅羅  |(今度は「廊下でぶつかり」作戦よ)
    |(さぁ、今度こそ私の美しさを思い知りなさい!)
好雄  |で、どうなんだ、水泳の方。
小波  |ん〜、まずまずかなぁ。
    |まだ始めたばかりだから何とも言えないけど。
好雄  |でも何でいきなり水泳部なんだ?
小波  |いっただろ、3年後には清川さんも抜いて見せるって。
好雄  |あ、あれはマジだったのか…?
小波  |当たり前だろ。
魅羅  |(今だわ!)
    |どんっ!
小波  |うわっ!
朝日奈 |きゃっ!
魅羅  |えっ?
小波  |あ、朝日奈さん、廊下走っちゃ危ないよ。
朝日奈 |ごっめ〜ん、映画のチケットの予約の電話、急がないと無くなっちゃうから。
小波  |気を付けなよ。
朝日奈 |ほんっと〜にゴメンね。
    |じゃ、またね。
    |たったったったった…
好雄  |ホントに台風みたいなヤツだな。
小波  |朝日奈さんらしくていいんじゃない?
好雄  |それもそうだな。
    |ははははは。
魅羅  |(な、何なのよあの子は〜)
    |(仕方ないわ、先回りして…)
小波  |そういえば、好雄は好きな子はいないのか?
好雄  |う〜ん、そうだな。
    |いると言えばいるし、いないと言えばいないな。
小波  |なんだよ、そりゃ。
好雄  |ま、そう深く考えるな。
小波  |まぁいいけど。
魅羅  |(こ、今度こそ…)
    |どんっ!!
小波  |うわっ!?
魅羅  |えっ!?
好雄  |て、鉄○靠!?
館林  |ごめ〜ん、また、ぶつかっちゃったね。
小波  |い、今のは「ぶつかった」のか…?
好雄  |なんで小波と館林がぶつかって小波が吹っ飛ぶんだよ…。
館林  |ま、まぁ、そう言うこともあるんじゃないかな。
    |それより小波君。
小波  |な、何?
館林  |こ、今度また、どっかに遊びに行かない…?
    |(真っ赤)
小波  |くすっ。
    |いいよ、また今度電話するから。
館林  |絶対だよ。
    |私、待ってるから。
    |じゃあ。
    |たったったったった…
好雄  |お前って、疎いし鈍いのにもてるな。
小波  |褒めてるのか、それは?
    |き〜んこ〜んか〜んこ〜ん…
好雄  |やべっ、昼休みがおわっちまった。
    |急いで帰ろうぜ。
小波  |そうだな。
    |たったったったった…
魅羅  |……、一体なんだというの!?
    |10月5日、放課後、下校時
魅羅  |(もう良いわ、変な小細工をするから失敗するのよ)
    |(帰るときを見計らって、私の方から声をかければ…)
    |(来たわ!)
    |(丁度一人の様だし、今がチャンスね)
魅羅  |
詩織  |こ・ま・ん・ど君!
小波  |詩織、どうしたんだ?
詩織  |家もお隣同士だし、たまには一緒に帰ろうと思って。
小波  |今日は別に用事も無いし…。
    |そうだな、一緒に帰るか。
詩織  |じゃ、帰りましょう。
    |でね、駒人君、この間……
魅羅  |……もう、イヤ!!!