はじめに
市長の思いをこめ市民参画で作られた「吹田風土記の丘・紫金山公園基本計画」−以下基本計画―は平成13年(2001年)から始まり、行政と市民団体などとの協働により計画が実施され、今年で7年目を迎えました。更に、この基本計画の進捗を見守り、効果的に遂行するための組織として、このたび2007年4月に紫金山公園運営協議会が立ち上がりました。この協議会は行政、地元自治会や環境団体、博物館を盛上げる会など幅広い委員で組織された協議会です。
基本計画を見ますと、「吹田の里ゾーン」にビジターセンターをつくる計画が以下のように記載されています。
「自然:・公園来訪者に里山や紫金山についての紹介・各種の情報提供、活動の場の提供・里山での遊び、作業、農業体験などの活動への基地(p.96)」
「施設:・古民家を移築または復元して、ビジターセンターにする(p.96)」
また、「ソフト計画」では「市民参画によるビジター(管理)センターの運営(p.119)」
ビジターセンターはこの基本計画に従って設置、運営されていくでしょうが、計画の実施にあたっては、ぜひとも下記事項に十分な配慮をしていただきたく思い、この要望・提言書を提出する次第です。
ご検討の上、10月末を目途に両会にご回答いただくようにお願いいたします。
1.ビジターセンターは、吹田市の自然環境の保全、調査、研究、資料収集、環境教育の実践の中心となる場としての施設運営がなされることを要望します。
吹田市では、今年で9年目になる環境基本計画を施行しています。しかしこの歳月の中で、2000年から2001年にかけての「自然環境調査」を除き、自然環境についての保存、調査、研究、資料収集などの施策が行われた形跡がありません。また、この「自然環境調査」についてもその後活用するなど、施策に反映されているようには見受けられませんし、自然環境についての施策を具現化する機関・施設は少ないのが現状です。
更に、子供たちが身近な草花や昆虫などの生き物に出会える自然豊かな環境学習の場が吹田市には少ないのも現状です。
そこで、このビジターセンターに、ぜひ上記の機能を持たせていただきたく提言いたします。吹田市内でもっとも自然が豊かとされる紫金山公園にあり、博物館にも近いビジターセンターこそ自然環境の学習、普及活動をする拠点となることが期待され、環境基本計画の具現化に寄与するものと思われます。そして地球温暖化対策が待ったなしの昨今、市民に対する環境教育の最前線にすることができるでしょう。
2.ビジターセンターの設置や運営については、紫金山公園運営協議会で協議検討してから計画を進めることを提案します。
前述しましたが、平成19年(2007年)4月に「基本計画」に基づき歴史と自然を大切にした公園づくり目指すことを目的として、行政、地元自治会、環境団体、地元小中学校長、博物館を盛上げる会など幅広い方々が委員となって「紫金山公園運営協議会」が発足しました。
紫金山公園運営協議会では、紫金山に設置されるビジターセンターの目的や運営内容も協議対象として検討されるものと思います。
広く関係者や市民と協議しながら、ビジターセンターの具体的な運営をしていくことでビジターセンターは市民の自然に係る活動の拠点として根付き、活用されるものになると確信しております。
3.吹田博物館に、自然系の学芸員を配置し、ビジターセンターと連携して自然環境の事業、環境教育の活動を担うことを要望します。
吹田市立博物館は、歴史博物館としての位置づけのため、自然分野の調査研究や資料収集はなされていないと聞いています。市内では貴重な自然の宝庫である紫金山公園の中にある博物館が自然分野を扱うことができないということに多くの市民が疑問を感じているところです。
これは、吹田市の博物館条例が市立博物館を歴史博物館として位置づけているためで、条例の一部変更、改正をすれば博物館も業務として自然系の保存、調査、研究、資料収集など幅広い活動を実施していくことが可能になると考えます。
私たちは、速やかに条例を変更していただき、吹田市立博物館および紫金山公園ビジターセンターを活用して、吹田市に残された貴重な自然状態の記録や生き物の調査研究等をし、資料収集や市民への情報提供をする等の積極的な施策の展開をしていただきたいと切望しています。それによって、歴史博物館から「市民のための総合博物館」に生まれ変わることができると考えます。
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